第2話

 実際の実験内容を簡単に説明すると、人の側頭葉から神経伝達物質内の粒子を抽出する。それを仮に粒子αとする。

 衝突型の巨大加速器を用いて、光速に限りなく近い速度まで加速させた粒子α同士を連続衝突させる。衝突後の反応を検出する。ここで重要となるのは、まわりのものに質量を与える物質であるヒッグス粒子の検出結果である。

 ヒッグス粒子の検出は、通常極めて稀であるが、この実験では度々観測される。そのヒッグス粒子こそが、現れたり、消えたりをする値、点や線のもとになっている。

 これから実例を交えて、この実験と結果について、途中参加の立場で申し訳ないが関係者の一人として私から詳しく説明していきたい。

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