第78話 早朝


「朝からやってるとこなんてあんまりないな」

 バーガーショップがあるか。

「ハンバーガーでもいいか?」

「「「はい」」」   

 いいらしい。


「朝モック美味い」

「これから毎朝でもいいよ」

「これが毎朝……」

「体壊すぞ、それよりこの後はリアの服を買いに行く。必要なものはユフィとルージュに頼むからな」

「「らじゃ」」

「よ、よろしくお願いします」

 

「あぁ。そういえば時間がかかるもんだったなぁ」三人よれば姦しいか。

 スマホには加藤さんと三原ちゃんと福田さんとマリアからメールがあった。

 加藤さんはいつものか。

 三原ちゃんはダンジョンのこと。

 福田さんは愚痴??

 マリアもダンジョンのことか。

 いっそ、三原ちゃん達に会わせてみるか?

 加藤さんには連絡を入れといて、福田さんは無視……は殺されそうだ。

「もしもし」

「あ、小太郎さん!聞いて下さいよ!」


 やっぱり愚痴だった。上の方から色々注文が来てるらしい。

「ふぅ、スッキリしました。小太郎さんはいまどこへ?」

「街に買い物に来てるよ」

「なら買い物楽しんでくださいね」

 はぁ、大変だなぁ。次は加藤さん。

「もしもし」

「あ、小太郎さん。あのですね、」

「そうですね、精鋭部隊を作る案のほうが現実的では?」

「そうなりますよね!ありがとうございます」

 そりゃみんなスクロールやら欲しいよな。でも数に限りがあるものだしなぁ。

 

 おっ買い物が終わったみたいだな。

「いいもの買えたかい?」

「次はあそこのお店よ」

「ふぁい!」

 また時間が空いたな。

「もしもしマリアか」

「そうよ、はやく連絡してちょうだい」

「分かってるけど俺は一人なんだよ」

「で?次はどうするの?」

「いまちょうど育ててる子達がいるんだけど会ってみないか?」

「小太郎が?会ってみたいわね」

「ならあちらにも連絡してみるよ」


「よう、三原ちゃん」

「あ、小太郎さん」

「マリア・北条って知ってる?」

「ちょう有名人じゃないですか」

「なら話が早い、一緒にダンジョン潜らないか?」

「え?願ったり叶ったりですけど私達で大丈夫ですかね?」

「大丈夫!自信持って」

「はい!よろしくお願いします」

「じゃあ明日、いつものとこでよろしく」

「時間も同じですよね」

「うん。よろしくね」

「はぁい」


「マリア。明日の朝きてくれるかな?」

「は?意味不なんだけど」

「マリアは世代じゃないか、朝来れるか?」

「いけるけど」

「んじゃ明日でよろしく」

「わかったわ」


 とりあえずこれで全部終わったな。

「買い物終わりましたぁ」

「こっちも終わったよ」

「あ、電話してたんだ」

「そ。で?色々買った?」

「買った!」

「なら帰ろっか?」

 まだ遊びたいのか首を振ると、

「クレープ食べてないし、たこ焼きも」

「あとファミレス」

「あー!ファミレス!」

 どんだけ食べ物だよ。

「分かったけど食い過ぎ注意な」


 この前と違うファミレスに行くと皆が大喜びでフリードリンクを取りに行く。注文もタッチパネルになっていた。三人でタッチパネルにかぶりついてみている。


「選んだら注文するから貸しなよ」

「はーい」 

 いらないのを削除して注文する。

 数量が違うことを皆気にしてないようだった。

 

「いつもこんな暮らしをしているのですか?」

「いや今日はたまたまだよ」

「そうそう、リアちゃんの歓迎会」

「そ、そんな」

「そう気を使うことないわよ」

「は、はい」

 恐縮するリアに二人は優しく声をかける。


 まぁ、美人が三人も集まってたら人も避けて行くよな。通行人もよけて道を開けてくれる。


「つぎはなんだっけ?」

「「クレープ!」」

「はぁ、忘れてなかったか」



 朝から起こされて岡崎ギルドにいる。

 朝の五時だぞ。いくらなんでも早すぎるだろ。

「小太郎が何時か言わなかったからですわ!」

「加減してくださいよー。まだ眠いっすよー」

「あら、私は毎日これくらいに起きていますわよ」

 いまはギルド内にある訓練場だ。

「さあ、いざ!」

「あぁ。はらへったあ」

 マリアの剣線は鋭くなったが俺はもっと高みにいるので余裕っすわ。

「余裕そうじゃない!その鼻っ柱折ってやる!」

「アダマンタイト製なので曲がりも折れません」

「きぃーーーーー!」

 激しさを増す剣戟に少しやる気を出す。

「きゃっ!」

「足元がお留守でーす」

「卑怯者!」

 煽れば煽るほどマシマシで荒くなってくる。

 使っているのが鉄剣の刃を潰したものだが、これだけ戦えば折れる。

「まだまだぁー!」

「いや。もう来たみたいだぞ」

 訓練場の出入り口で三原さん達がこっちをみていた。

「よう、三原ちゃん久しぶり」

「小太郎さんも元気そうですね」

「斎藤さんは錬金上手くなった?」

「なんとかスクロールは完成しました!」

「おお!やるねぇ!ブランクはまだある?」

「それがもうあんまりなくて」

「じゃあ、これあげるよ!」

 どっさりと大人買いしたブランクのスクロールを渡す。

「ひゃー。これでまた練習できる!」

「ほかのみんなも強くなったって感じがするよ」

 見た目でわかるが、市販のガードなどをつけている。

「初級ダンジョンなら余裕ですからね」

「お!じゃあ中級ダンジョンだな!」

「それがまだダメみたいです」

「大丈夫!これからはマリアが保護者な!」

 マリアを紹介する。

「キャー。マリア・北条さんだ」

「お、俺はサインを」

「まてまて、マリアがお前達を訓練するんだからな」

「「「「「「えーーーー」」」」」」

「マリアもいいか?」

「しょうがないわね。でもまだ初級なんでしょ?」

「おまえもモゴモゴ」

「そのことは喋らない!!」

 俺はコクコクと頷く。

「まぁ、私がついてれば大丈夫よ!」


「マリアも最初から上級になんか連れて行かないだろ?ちゃんと面倒見てやれよ?」

「わかってるわよ、中級からじっくりあげていくわ」

「なんかいいものあったら流してやるからな」

「「やったー」」

 三原さん達は素直でいい子なので、何かしてあげたくなるのだ。

「あ、勇者組がまたダンジョン攻略始めましたよ」

「あらら。そうなん?」

「前と違って初級から真面目にやってるみたいです」

「なんか思うところでもあったのかな?もしかして三原さん達を見習ってとか?」

 みんな笑っているがたぶんそうだろうな。

「じゃあマリアも厳しすぎると嫌われるからなー!」

「きー!小太郎には言われたくない!この鬼!悪魔!」

 笑いながら手を振って別れる。


 何かあれば電話してくるだろう。

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