第39話 グイグイくる立花【side伊勢成実】
席変えのあと、机を合わせて班を見回す。
あたし、立花、マッチョの完くん、ギャルの木多ちゃん(友達!)、マッチョの林くん(初登場、モブ)
『ポーカーだったらマッチョとギャルのツーペアだよ!』
なんか立花が突っ込んでる?
全員話した事ないメンバーの班に比べて雰囲気はいい。マッチョは二人とも立花好きみたいだし、あたしも木多ちゃんも立花に助けられたから好意(男女のじゃないよ!)があるから陰キャの立花はやりやすいでしょ?
『好きに組めって言われると僕あぶれるから…。でもこの班はいいね。』
(立花…かわいそうに…。)
なんか友達が同じクラスに居ないせいか覇気がないよね?
他の班も思い思いに班メンバーで話をしている。1学期はこのメンバーで課外授業や課題なんかで組むけどみんな大体一度くらいはなんらかの接点があったりするから特別自己紹介なんてしないんだけど…。
立花があたしの胸を凝視している?
流石にはっずかしいから止めるように声を出そうとしたんだけど立花が急にテンションを上げて
『伊勢さんってさ!名前素敵だね!』
(名札見てたのかい!)
キラキラした笑顔でさっきまでの少し暗めな雰囲気と一変して明るく元気に私の目を覗き込んできたよ!
『え?』
あたしはびっくりした。
『ええ?!』
隣の班の香椎玲奈がびっくりした声を出してこっちの班を見ていた。
(ああ、隣の班で聞こえていたのかなあ?)
『香椎さん?』
『香椎さんどうしたの?』
『!‥ううん、ごめんね?』
香椎玲奈は笑顔で繕って班に向き直った。
聞き間違いかな?立花っぽくないよね。
『本当何で気づかなかったんだろう?響きも字面もすっごい素敵だよね!』
『え?』
あたしは同じリアクションをしてしまった。
聞き間違いじゃない?ええ?
『きゃー!成実ちゃん口説かれてるー!』
木多ちゃんが黄色い声をあげる。
『え?なんで?!えー?!』
香椎玲奈が今度は席を立ち上がって振り向いてこっちを見てる。
慌てて班に謝って向き直って着席したが耳はめっちゃこっちを聞いてる(笑)
いたずら心が湧いてきて立花に聞いてみた。
『そんなに?前は分からなかったの?』
立花は情熱的な眼差しで
『子供だったから分からなかったんだね、今ならわかるよ!』
え?めっちゃあたしにグイグイくるんですけど?!
わたし狙われてる?昨日の塩対応はなんなのお?!
なんか隣の班の香椎玲奈がビクンビクンしてるんだけどあたしもタジタジになってしまいそれどころではない!
『…。えーっと。
そんなに言うならあたしのこと名前で呼んでもいいよ?』
わたし押しに弱いかも。だめだよ、まだ知り合ったばかりだよ?
本当は親しくなってからじゃないと名前でなんて呼ばせないよ!まして男の子に…。
『いや?別に伊勢さんって呼ぶから。
女の子を下の名前でなんか呼べないよ?』
は?
ちらっと隣の班を見ると香椎玲奈もは?って顔してる。
『僕さ戦国武将好きなんだけど、奥羽の戦国大名伊達政宗の配下の
立花はさらさらと紙に書いて見せた。
『ときめき返せ!』
陰キャがギャルを口説いてる!って注目を浴びてたらしく周りは
『しげざねw』
『ドンマイ!しげざねw』
『しげざね違うわ!』
立花のせいで新学期早々にあだ名がしげざねになった…。
そのあと立花は熱く伊達成実について語ってくれた。政宗の親戚で子供のころから一緒に育って、
不利な戦いでも踏みとどまって政宗を逃したこと、『英毅大略あり』とまで言われた猛将なんだって。宮城では神様として神社に祀られているの?
あたしは弱いから強いのは憧れるなあ。
イケおじか美青年がいいけどまあ現実はゲームみたいにはいかないよね?
なんか格好いい剣とか鎧とかしてたん?って聞くと
『
はあ?毛虫の兜?
『毛虫は後ろに下がらない』かららしい。
あれ?なんか格好良くない?名前が同じ字だから親近感を覚えてしまった…。
つーか、しげざねって呼ぶなし!
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立花と伊勢さんの会話中の香椎さん(動揺中)
『エーット、コノハンノハンチョウハダレガシマスカ?』
『香椎さん?なんでカタコトなの?!』
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