8分前

「よーし、連絡も入れたし遅刻準備万全!今家出て走ってる!」

『今の人として最底辺の方のセリフだったね』

「冗談だって……すみません、ちゃんと反省してます。というか、今から行くったって冬、お前今どこいんの?」

『別に家に居たって信が遅刻するなら一緒に行けばいいじゃない。まあ今家にいないけどね』

「じゃあどこ?」

『〇×ベーカリーの前。今日定休日だったの忘れててさ。〇×駅まで徒歩7分。走れば5分だけど、必要ないね』

「くっそ、間に合うのかよ……。俺の責任が増える……」

『残念でした』


「冬が誘われてたんなら起こしてほしかったー。俺ん家の窓コンコンってノックしてベランダ越しに起こしてほしかったー。ついでにホットココアも渡してほしかったー」

『結構わがままだね⁈……あと変な設定を増やすな。別に私と信の家そんな漫画のザ・幼馴染みたいな位置関係じゃないじゃん』

「幼馴染なのに……。もういっそ俺ん家来て毎日起こしてよー。出来れば味噌汁のにおいで起きたい」

『毎日お味噌汁だと塩分過多になるよ。それに信全然起きないからめんどくさそ。……私だったら付き合ってあげられるけどね。幼馴染だし』

「……もしかして、意外と乗り気?」

『え』

「え」


…………。え、何この空気。


「と、とりあえずバス停見えてきたわ!」

『う、うん!バス降りたら走って来なよ!』

「まかせとけ!」

『……』

「……じゃあ、切るぞ!」

『あ、うん』

「……」

『…………切ってよ!!』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る