第4話
「随分とお早いお帰りでしたね」
円卓の奇跡の会議から抜け出し、自分のお店へと帰ってきた僕に対してリスタが声をかけてくる。
「良い感じに抜け出せるタイミングがあったから抜け出して来ちゃった……マジで面倒なんだよね。あの人たち……昔の恨みを拗らせすぎて自分たち以外の人間を恨み過ぎなんだよ」
「……まぁ、あんな事件がありましたからね」
「あれから既に二百年以上過ぎているっての」
三百年前に特許制度が出来……それに伴って金を得て、横の繋がりが出来、力をつけて特権階級へと成り上がろうとしていた呪文研究者たち。
そんな呪文研究者たちに世間はノーを突き付けた。
特許制度が世界中で廃止され……呪文研究者への迫害が強まり、多くの呪文研究者が処刑されていく……呪文研究者を見つけたら殺せ。神の敵だ。
そう言われていた時代もあったのだ。
そんな時代に抗い、世界と戦い、権利を獲得し、特許制度を復活させた呪文研究者の努力と戦いは美談になり得るかもしれない。
だが、そんなことがあってからあまりにも時が経ち過ぎた。
もうすでに当時をいるものはいないし、呪文研究者はここ短期間で腐りすぎた。被害者と加害者の立場はとうに逆転している。
「それを理解できてなさすぎ……んで、呪文研究者たちを信用しすぎ。自分たちのコミュニティに甘過ぎなんだよ」
「……呪文研究者たちも複雑なんですね」
「複雑なものか。僕らはただの暴力装置だよ……呪文研究者たちとその他の戦いはどこまで行っても如何に圧倒的な個を叩き潰すかと言う構造にしかならない」
宗教勢力との対立は様々な要素が絡み、多くの政治的判断と利権が絡んでくるだろう。
だが、そんなもの呪文研究者たちとの戦いにない。
あるのは純粋な暴力と暴力のぶつかり合いだけだ。
「どこまで抗うのかな……?ノア・ハーレスト」
そんな単純な構造をどこまで彼は複雑に出来るだろうか?宗教と呪文研究者をどう絡めるだろうか?
「……アレス様はどう動くので?」
「別に僕は何ともしないよ。普通に暮らすだけ……最近、小物の販売もしてみようって思っているんだよね。お貴族様にはどんな小物類が売れるかな?」
「……ッ。私からは何とも……私はただの庶民でしかないので、お貴族様が何を望んでいるのかはわかりません」
「そっかー。んじゃ、明日学園で聞こうかな。今日の夜ご飯何?」
「ローストビーフを作ってみました……多分、美味しく作れていると思います」
「おぉー、良いじゃん」
僕の日常は変わらない。
あとがき
しーんさく!
読んで!お願い!!!
『主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます