第14話
僕が発動させた大魔法。
それを前にこの場にいる全員が呆気に取られる。
「い、今のは……?」
僕の隣に立つ先生が震えながら疑問の声を上げる。
「自分が作ったオリジナルの魔法ですよ?」
「き、君は……確か、呪文研究者だった、よね?攻撃魔法も……いや、というか今のは……?」
「龍帝ラレッサ様の魔法を何故お前がッ!?」
クラスの男子の誰かが僕に対して大きな声を向けてくる。
「ラレッサはただの魔法使い……呪文研究者じゃないよ?ラレッサの魔法を作った呪文研究者がいるに決まっているじゃんか」
「ま、ま、まさか……君が『小悪魔』なのか……?」
「先生。その呼び名はやめてください」
先生の言葉に僕は反感の意を示す……小悪魔。いつしか僕の二つ名として知れ渡っていた名前であるが、それを僕は非常に気に入っていない。
「つ、つ、つまりほん」
「先生。しー、です。この世界で軽々しく踏み込んじゃ駄目ですよ?」
「……ッ」
僕の言葉にすごい勢いで頷く先生を確認した僕はそれに満足し、視線を先生から生徒の方へと変える。
「さて、さて皆さん。かの有名な龍帝ラレッサ。かつて、一個人で一つの国の軍団を退けたという逸話を持つ伝説の魔法使い。その彼の象徴とも言える大魔法『龍系魔法』の特許は僕のお店で月金貨10枚。年金貨100枚で販売しております!」
ちなみに金貨10枚は前世で言うところの百万円くらいだ。
物価自体は日本よりもかなりい安めなので、四人家族が三ヶ月暮らせるくらいの金額となっている。
「そしてなんと!この学園の生徒、先生には特別に普段はお売りしていない一日特許を金貨1枚で販売いたします!絶対に負けられない決闘、命をかけた仕事などがあればぜひお買い求めください!」
金貨10枚を軽々しく出すのは難しいだろうが、金貨1枚なら個人の裁量で出す事のできる金額だろう。
貴族だし金貨10枚も余裕か?……他に契約している特許もあるだろうから、辛いかな?やっぱり。
「僕からは以上です。ありがとうございました」
セールストークを終えた僕は一礼し、元の位置へと戻る。
「ふっ」
戻る途中で僕は自分に喧嘩を売ってきた男子の方へと視線を送り、鼻で笑ってやる。
「……ッ!」
それを受け、それまで意気消沈していた男子が顔を真っ赤にして怒りをあらわにしい……すぐに他の男子に叩かれた抑え込まれていた。
「格の違いの見せつけ終了」
元の場所に戻った僕は満足げに頷いた。
まぁ、正体はバレたけど別に良いでしょ。そんな隠す気なかったし。
「……え?俺ってばこの後やるの?つら」
僕の次に魔法を打つことになった優しい男子クラスメートがボソリと呟いたのが僕の耳に届く……それはほんとごめん。
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