第45話「アストラル・ドミネーション」


”アストラル・ドミネーション”

人々の魂を抜き取り精神世界(アストラル界)に総移住させるという、

神のとんでも計画が裏生徒会のメンバー達に詩音の口から告げられる。

しかしにわかにも信じられないメンバー達はその情報を半信半疑で聞いていた。


「導きの魔女様がこの世界の神だと言うのにも驚きだけど、そんな計画信じられないわ」


裏生徒会の会長のアリスが呆れた顔で言う。

証拠も何もないのだ、当然である。


「シオンちゃんの魔術書に創世の魔女ユリィ様の魔術が入っているって言うのも信じがたいわ。魔女の始祖なのよ?」


アリスが続けて追い打ちをかける。


「とにかくこの件は証拠が固まるまで保留よ。本当だとしてもあの方相手じゃどうにもならないわ」


アリスがそこまで言うのなら相当な相手なのだろう。

こうして詩音の「学園の魔女達でどうにかする計画」はとん挫した。



散々悩んだ詩音であったが、信じて貰う為にレオナに全て打ち明ける事にした。

そう、転生者であることもである。


「実は私、異世界転生してきたんです」


「え!?」


詩音の突然のカミングアウトに驚愕するレオナ。

しかしレオナは真剣な眼差しで詩音を見つめてこう返した。


「あなたがどこからこようと私にとって大切な存在である事には変わりはないわ」


「お姉様・・・」


レオナの言葉に感動する詩音。

しかし詩音はそれ以上の事を信じて貰わねばいけない。

正直言って不安だったが、レオナなら信じてくれると信じていた。


「実は転生も魔術書も全部導きの魔女、神様がやった事なんです」


「導きの魔女様が・・・?」


最初は困惑していたレオナだったが、詩音の真剣な顔を見て信じる事にした。


「じゃあ導きの魔女様に問いたださないとね」


「はい、お姉様!」


唯一信じてくれたレオナに感謝する詩音。

レオナと詩音は導きの魔女の住まう洞窟に向かう事にした。



「やっと・・・ついたわね」


「お姉様、少し休みます?」


「大丈夫・・・よ」


レオナは前回同様に長い洞窟道でスタミナをなくしており、既に息を切らしていた。


「おやおや、お疲れの様だね」


そこに現れたのは導きの魔女こと神様だった。


「導きの魔女!いえ神様!あなたに決闘を申し込むわ!私が勝ったら”アストラル・ドミネーション”を諦めなさい!」


「面白そうな展開だね。だが断る」


「負けるのが怖いの?」


「まさか。まず勝ちが見えてる勝負に興味が無いんだよね。それに君には最強の魔女になって貰わないと困る」


「え?私が最強の魔女にならないと困るってどういう事?」


「おおっと口が滑った。とにかくその決闘は受け入れられないよ」


口論を続ける二人にレオナが割って入る。


「導きの魔女様、”アストラル・ドミネーション”なる計画は本当にするつもりなんでしょうか?」


「ああ、もちろん―、あっしまった。生徒会長さんとの二人の秘密にしておこうと思ったのに・・・」


「やっぱり詩音の言ったことは本当だったんだわ」


「だから言ったでしょう?お姉様ったら」


「じゃあ君達には邪魔だから消えて貰おうかな。転移!」


「「え」」


―喫茶ポワレ


「お帰りなさいませ、お嬢さ―うわっ!?」


給仕をしていたエリシアの前に詩音とレオナが落ちて来た。

幸い怪我はない。

それよりも”アストラル・ドミネーション”をどう止めればいいか考える詩音とレオナであった。



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