現代最強生徒会長、転生し魔術を極め最強の魔女になる~百合の世界でお姉様と甘々な姉妹生活を目指します~

勇者れべる1

少女転生編

第1話「転生」


ここは魔法も剣も存在しない現代の地球。

そこには独り黄昏ている憂鬱な少女がいた。


「はあ…暇だわ」


彼女の名は天道詩音。

名門私立聖アヴェリア女学院の生徒会長である。

容姿端麗、文武両道、特技の欄に「全て」と書けるほど「あらゆる事」に精通した実力の持ち主である。

その美貌と内面の完璧さに加え、聖人の様な性格の為、人望も厚い。

そんな最強な彼女が求める物は刺激。

しかし彼女が満足する事は無く、交通事故と言う形でその命は幕を閉じた・・・筈だった。



「ここはどこ?」


詩音の目の前に広がるのは無の空間。

そこにいつの間にか人影が現れた。


「私が説明しましょう」


詩音の目の前には漆黒のローブに身を纏った女がいた。

彼女が詩音の手を握ると詩音の脳内に情報が送り込まれていく。


「どうです?一度死んだ気分は」


「死後の世界って何も無いのね・・・拍子抜けだわ」


「随分と冷静なんですね・・・まあいいです。実はですねあなたを間違って死なせてしまったのですよ」


「それで?」


「それでですね、あなたに一つチート能力を与えて異世界に転生させるというプランがありまして」


「よく小説である奴ね。でもチート能力は要らないわ。今のままにして頂戴」


「本当にいいのですか?」


「だって学ぶ楽しみが無くなっちゃうもの」


異世界と言えば魔法である。

更に生まれつき女性の魔力が強いという法則がその世界にはあるのだ。

現代には無い、まだ極めていない新要素に詩音はワクワクしていた。


「じゃあせめてこれを・・・」


ローブの女は古びた一冊の本を詩音に渡した。


「これは・・・?」


「読める様になったら分かりますよ。まあ私からの贈り物です」


本を手渡された瞬間眩い光が女から放たれる。

詩音は思わず目を瞑ると、意識はしばらく途切れてしまった。



「(・・・ここは、どこかの部屋のようね)」


詩音が周囲を見渡すと見慣れない欧風の部屋があった。

しかも中世風の昔の欧風だ。

まるで映画のセット、いやそれ以上に精巧な部屋はここが本物の中世時代だと言う事を物語っていた。


「どうしたのかしら、この子泣かないわ・・・」


ドレスを着た女性が赤子を抱いている。

そして心配そうに詩音を見つめていた。


「もしかして何か悪霊でも憑いているのかしら」


「貸してごらん。さあ元気をだして、私の愛しい娘よ」


今度は紳士服を着た男性が詩音を抱きかかえる。


「そうそう、君に相応しい名前を考えて―」


「詩音よ、お父様。私の名前は詩音」


「え!?」


驚くのも無理はない。

生後間もない赤子が喋り出したのだから。

それもまるで成熟した少女の様な喋り方だ。


「この子は神の子だ!そうに違いない!」


「ええ、その通りよ!」


新しい父と母は大笑いしながら詩音を抱え上げた。


「(喋り出すの早すぎたかしら)」


生後すぐに目立ってしまい、少し後悔してる詩音であった。



あれから十数年が経った。

詩音は転生前同様の長く美しい黒髪に端正な顔立ちの美少女に成長し、

同じく転生前同様に様々な物事の道を極め、暇を持て余していた。

あの魔術さえも幼少からの鍛錬において極めてしまったのだ。


「ふぅ、相変わらず暇ね・・・ブック!」


詩音がそう唱えると古びた本が手元に現れる。

詩音が最近はまっているのは魔術書の解読だ。

特に転生前にローブの女から渡されたこの古代の魔術書には強力な古代魔法がずらりと並んでおり、

ついに最後の一ページの解読に取り掛かろうとしたその時に事は起こった。


「シオン、喜びなさい!ゲイル侯爵との婚約が決まったぞ!」


「お父様、また勝手にそんな婚約を決めて・・・」


「実は今日いらっしゃっているんだよ。さあ挨拶なさい」


父の合図で気取った格好の若い紳士が入って来る。

腰には剣を下げ胸にはいくつもの勲章を付けていた。


「初めましてシオン殿。今日から君の婚約者のゲイルだ」


「初めまして、ゲイル侯爵。そしてその婚約、破棄させて貰うわ」


「どういう事だ?話が違うぞ」


父親に詰め寄るゲイル。

そして間髪入れず二人の間に無理矢理詩音が割って入った。


「これは私の独断よ、ゲイル侯爵。婚約を賭けて決闘して貰うわ」


決闘とはこの世界における絶対のシステムで、

勝者は敗者に一つだけなんでも言う事を聞かせることが出来る。


「君にはこれが見えないのか?」


ゲイル侯爵は胸の勲章をじゃらじゃらと見せつける。

いずれも戦場で武勲を上げた証である。


「これは竜退治の際に国王陛下から頂いた物だ。そしてこれは―」


「自慢話は結構。決闘するの?しないの?」


その言葉にゲイルは切れた。


「調子に乗るなよ小娘。その綺麗な顔に一生治らない傷を作ってやる・・・!」


「やれるものならやってみなさい」


二人は場所を変え中庭に集まった。

そして二人の決闘が始まる。




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