魔道具編2

 翔と繭は代表の部屋に呼び出された。豊はあまりの非常識の魔道具に対し、魔術での箝口令をしくことにした。


「はー。もう一つの魔道具は?」「…………」

 豊は仕事モードから戻り翔に聞く。翔は仕事モードではなく命令されていない為迷う。


「もう一つは流石に言えません。たぶんやばい者ですから」

 翔も流石に自覚があり説明出来ないと言う。


「ならあると言うなー」

 豊は深く息を吐く。


「流石に辻褄が合わないと思うので…」

 翔は繭をチラッと見る。


「辻褄と言うと」

 豊は報告書に目を通す。一番隊、並びに繭、翔、智花からそれぞれ報告書が上がっている。もちろん誘拐した元隊員からの調書にも。


「共鳴音か?!」

 豊は少し読み漁りつぶやく。


「はい。その共鳴音がもう一つの魔道具です。説明は出来ませんが察してもらえたら……」

 翔は頭のいい者なら分かるでしょと思う。


「……ハー。もし私の考えが正しければなんてものを作った」

 豊は天井を向く。


「たぶんその解釈で合っていると思います。繭も以前同じく上を向きました」

 翔は懐かしそうにクスッと笑う。


「あい分かった。もう一つの魔道具に関しては詳しく聞かない。ただ追跡方の魔道具に関しては、後日問い合わせがあると思う」

 豊は追跡方の魔道具は使えるから、実用性を考えたいと言う。


「分かりました」

 翔は頷く。


「さて他に隠し持っているであろう魔道具に関しては見なかった事にする」

 いろいろ言いたい事はあるが今回はもういいと豊が言い、翔と繭は退出して行った。


「さて悪いが魔術で箝口令をしく。いいな!」

 豊は直属の隊員達に仕事モードで言い放つ。


「ハッ」

 全隊員理解したと返事をするのだった。


 一番隊隊長部屋では、

「大丈夫ですかね?」

 智花が翔達の心配をしていた。


「あはは」

 加藤は乾笑いをする。


「智花ちゃんあの時何が合ったの?」

 報告書に目を通していないゆりは智花に聞く。

 智花も報告書になんて書けばいいか分からなかったが、後で申告していないと罰せられたくなく素直に書いた。翔も問題ないも言ってくれた。


「うーーん、話して大丈夫かな?」

 智花は考える。流石に魔道具云々はダメだろうなと思い、智花はゆりには部屋に取りに行ったことを省いて、魔道具で位置を特定してと濁しその後の行動は普通に話した。


「智花ちゃん。繭ちゃんの行動力……」

 ゆりは繭の行動力がやばいと訴える。


「そうね。二人の学生時代もそんな感じだったよ。自身よりお互いだから被害が…」

 智花は苦笑いで当時の話をする。

 二人が大暴れした時は流石に肝が冷え、智花、ロッテ、一郎達が総出で止めに入ったと話す。智花が中学に進学してからは、雪と恵が代わりになったと聞いたとも話す。


「ねー気になったけど、智花ちゃんって翔隊長の事すきだよね?」

 ゆりが唐突に言う。


「なっ!」

 智花は赤面し驚く。


「繭ちゃんの前では流石に言えなかったけど、今の話聞いてやっぱりと思ったよ」

 ゆりは懐かしそうに、寂しそうに、また嬉しそうに話す智花を見て確信した。


「ち、違うから!」

 智花は慌てて否定する。


「ちがうの?智花ちゃん翔隊長や繭ちゃんの話をする時が一番輝いているけど、特に…」

 智花はゆりの口を塞ぐ。


「もう分かったからこれ以上は」

 智花は赤面し涙目になり止めに入る。


 加藤はいつの間にか居なかったのだった。

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