It's not your fault.
ニドラ敗北の知らせはすぐ豚の魔王の耳に入ってきました。
「クソ!ニドラめ!「私失敗しないので」みたいな顔してまんまと負けやがって!」
怒り狂う豚の魔王を青ブタッピーがなだめます。
「落ち着いて魔王様!まだカルマとタマが残ってるので」
「黙れ!!」
魔王は近くにあった観葉植物を投げつけました。それを青ブタッピーが避けたせいで観葉植物は窓を突き破り、海の藻屑へと消えました。
「どいつもこいつも使い物にならない!俺様の部下なんだからもっと真面目に働きやがれ!」
豚の魔王は椅子にどかっと座り、「少し寝る」とだけ言いました。
彼はメルヘン星の人間ではありません
彼の故郷は地球。そう、皆さんご存知の青い星、彼は教師の父と専業主婦の母の元に生まれました。幼い頃から無口で陰気だった彼は友達ができず、ひとりぼっち、得意なことは勉強のみ。幼い頃からカーストは低く、それは成長しても変わりませんでした。いえ、どんどん落ちていくので退化と言った方が正しいでしょうか。
中学の頃、彼はいじめられました。理由は単純明快、弱いから。弱いから言われもない理由をつけられ、連日壮絶ないじめにあってました。それでも頭はいいので卒業後は有名高校に通いました。
そこではいじめられませんでした。かと言って友達も出来ませんでした。ですが楽しみは出来ました。光る板越しに相手に罵詈雑言を浴びせる。それが彼の唯一の楽しみです。
何も無い男が成功した人間を顔も見えないことをいいことに言葉のナイフで切りつける。あとはティッシュをお供にかわいい女の子を鑑賞することでしょうか。彼の人間性は徐々に低下、必要ないプライドだけが上がっていくだけでした。
彼は大学受験に失敗しました。
実力不足を罵詈雑言で発散しました。
両親は病気で長く生きられません
働いても長続きしないのでやめました
悪いのは自分じゃなくて社会です
彼は言い訳だけは人一倍思いつく男でした。
友達ができなかったのも、いじめにあったのも、大学受験に失敗したのも、働けないのも全て他人が自分を貶めるからです。自分だって貶めてる癖に。
彼の堕落に満ちた必要のない人生が終わりを迎えたのは突然のことでした。
火の不始末かはたまた放火か、彼は焼死しました。
社会に必要のない男の25年間はこうして幕を閉じました。
目を覚ますと、のどかな風景がそこにはありました。そこはまるで童話のような世界でした。人間と動植物が会話をし、心地のいい音楽がなる、普通の人からすればそこは天国でしょう。
ここはどこだろうと彼は近くにいる女の子に話しかけました。が、女の子は彼の姿を見るなり走って逃げてしまいました。ほかの人々も彼を見るなり石を投げ、追い払おうとしました。自分が何をしたと言うのか、彼は戸惑いました。自分の姿を確認しようと水面に顔を覗かせました。その顔に写っていたのは醜い豚でした。
男の地獄の第2の人生が始まりを迎えたのです。
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