勇者ミントの村助け
「お花さんおはよー!今日はいい天気だね!お花さん元気?アンナはとってもとーっても元気だよ!」
ミントはクマから小さな女の子アンナを助け出しました。アンナは9歳の女の子。フラワータウンではしっかり者で子供たちのリーダーだそうです。でも不思議です。アンナはなぜ豚の魔王から逃げきれたのでしょうか?こんなに幼い女の子が魔王から逃げれるなんて不思議です。
ミントはアンナに聞きました。
「アンナ、君はどうやってあの魔王から逃げきれたんだい?」
「お姉ちゃんすっごく綺麗だね!なんでそんなに綺麗なの!?」
「いや僕はお姉ちゃんじゃないよ」
「じゃあお兄ちゃん?」
「お兄ちゃんでもないよ」
「お姉ちゃんでもお兄ちゃんでもないって変なのー!不思議なこともあるもんだねー!」
そう言って首を傾げるアンナにミントはタジタジです。
「えーっとね、わたしが魔王からにげれたのはね、水色の髪のお姉さんに助けて貰ったからなんだー!そのお姉さんはほうきに乗っててね、アンナをほうきに乗せてくれたんだー!すっごく、すーっごく楽しかったよ!」
水色のほうきに乗ったお姉さん、もしかして魔女のことでしょうか?魔女とはこの世界にいる国を管理する組織、ですがアンナを助けたならほかの女の子も助けるはずです。ですがなぜ助けなかったのでしょうか?それが不思議でなりません。
「それでねー、途中で降ろされたからなにがなんだかわからなくてうろうろしてたら優しいクマさんに出会ったの!アンナといっぱいいーっぱい遊んでくれたんだよ!」
アンナの話しをミントは苦笑いしながら聞きました。あのクマが優しいわけがないからです。
「それでねー、降ろされる時魔女のお姉さんから変なもの渡されたんだけどこれなんだろうね?」
そういうとアンナはポケットからあるものを取り出しました。それは水色の輝くオカリナ、ミントはそれに少し違和感を覚えましたがその違和感を胸にしまって口を開きました。
「アンナ、その魔王の城がどんなものでどこにあったか覚えてる?」
「そんなことよりアンナ水遊びしたーい!」
アンナは近くにある池を指さしそう言いました。
いきなり話が変わるもんですからミントはびっくりです。
「あぁ、いいよ。終わったらゆっくり話そ?」
「ミントも一緒に入ろうよー!」
アンナはミントの手を引きます。ミントは困った顔をしながら言いました。
「いや僕はいいよ」
「いいじゃんいいじゃん!2人で遊んだ方が楽しいんだよー!」
無邪気な笑顔でそう言われてはミントも断れません。
「いいよ、少しだけ遊ぼう」
その言葉を聞くとアンナははじけるような笑顔で頷きました。
その時
「誰かー!たすけてくれー!」
若い男がこちらに向かって走ってきました。
「ど、どうしたんですか?」
ミントが男の方に駆け寄ると男は息も絶え絶えに言いました。
「女の子が、全員捕まる!突然変なやつがやってきて!女の子を!」
その言葉を聞いてミントの表情がこわばりました。女の子が捕まる。これは自分が追ってるあの魔王の仕業に違いありません。また次の犠牲者が出る前に止める必要があります。
「アンナ、少しの間ここにいてくれない?すぐに終わらせてくるから。」
アンナは思わず息を呑みました。さっきまでのミントとは別人のように見えたからです。アンナは小さく頷くと、クマの方に駆け寄りました。
「クマさん、少しの間アンナを頼んだよ。変なことはしないでね?」
クマは首をブンブンと縦に振りました。
「お兄さん、僕を村のとこへ案内して」
村は大変なことになってました。男たちは魔王の部下にやられて女の子たちは羽の生えた檻に今にも閉じ込められそうです。檻の周りには体に赤い斑点のついた豚のモンスターが囲うように並んでいます。
ミントが村の男に案内され到着した頃には全てが終わりそうでした。
「そこまでだ!」
ミントが大きな声で叫びます。
豚のモンスター達ははミントの姿を見ると一斉に襲いかかってきました。
ギザギザのしっぽから放たれるビームを避け刀をすぐに抜くとまずはも1匹のモンスターを刀で切り捨てます。仲間を倒されたモンスターはさらに襲いかかってきます。ミントを囲うと今度は4匹がかりで突進してきます。ミントはそれを上に飛んで回避すると刀からビームを発射し4匹をまとめて倒しました。
ミントの強さにモンスターたちは大慌て、仲間たちに何やらヒソヒソと話しはじめます。話し合いがおわると大きな声をあげ始めました。
すると空からなにか降ってきました。
敵のボスであろうその男はトカゲのような見た目をしたサングラスをつけた大きな男です。顔には切り傷があり手には手斧を持っています。
「ブタッピーを倒すとは大したやつだな。」
男はミントに語りかけます。
「君がボス?村の女の子たちを全員解放すれば痛い目見ずに済むけど?」
ミントは厳しい表情を崩さず男に向かってそう言いました。
「魔王にはたくさんの金を貰ってる。その金のためにはなんだってする、それが俺のやり方さ。」
男はミントの言葉をバカにしながら言いました。この男が魔王の下についているのは明白です。
「なら容赦はできない、少し痛い目に合ってかえってもらう。」
話が終わると男は一気に前へとびだしました。
「俺の名前はP.O、負ける前に覚えておけ」
辺りに金属音がこだまします。3回ほど打ち合うとミントは後方にひきます。P.Oはさらに距離を詰め手斧を振り上げます。それを難なくかわしたミントは下から上へ日本刀を振ります。相手も歴戦の猛者、それを紙一重でかわし、懐からもうひとつ手斧を取るとそれをミントの首めがけて投げつけます。それも難なくかわし、ミントはビームをお返しします。P.Oは避けますがミントの姿は既に消えていました。ミントは後ろに現れます。それを見抜いたP.Oは斧を振りますがその瞬間ミントの姿が消え斧が空を切ります。と同時にお腹に大きな衝撃が走りました。P.Oは膝から崩れ落ちます。
「一体何が起こった?」
男の目の前にミントが現れます。
「僕の勝ちだ、村の女の子達を解放してこの村から出ていけ。」
ミントの言葉を聞いたP.Oは悔しそうな顔をすると、手下のブタッピーを引き連れ去っていきました。
放置された檻を壊して女の子達を解放し、お礼だけ言って立ち去ろうとするミントを村の長老がとめました。
「貴方のおかげで助かりました。どうかお礼をさせてください。」
ミントは手を横に降って笑顔で答えました。
「気持ちだけで充分ですよ。困ってる人を助けたまでです。」
そう言って立ち去るミントの後ろ姿を村人たちはただ眺めていました。
戻ってきたミントを見るとアンナは笑顔で駆け寄ってきました。
「ミントおかえりー!大丈夫だったー?」
「うん、大丈夫だったよ。悪いやつを懲らしめて帰らせた。」
アンナはミントの頭を撫でると笑って言いました。
「ミントは頑張ってて偉いねー!よしよししてあげる!」
幼い女の子にヨシヨシされるなんて初めてのことなのでミントは少し戸惑ってしまいましたが、やがて笑顔に戻ると
「ありがとう」
と、アンナにお礼を言いました。
女の子を攫った魔王を倒す。ミントの冒険はまだ始まったばっかりです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。