姉妹仲がいいだけ
「美葉、お風呂入ろ」
「き、今日は1人で入ろっかなー」
私がわざとらしくそう言うと、お姉ちゃんは後ろから抱きついてきた。
「美葉? 一緒に入ろっか」
有無を言わさない感じで、そのまま耳元でそう言われた。
「い、いや……さ、流石にもう私も中学三年生だし、お姉ちゃん離れするべきだと思うんだよね」
「ふふ、美葉が私をこうさせたんだから、勝手に離れるなんて許さないわよ」
私がお姉ちゃんをこうさせた……そう言われると何も言い返せない。だって、事実なんだから。知識がなかったとはいえ、お姉ちゃんにいっぱい恥ずかしいことしちゃったから。
「ほら、あの時みたいに洗ってくれてもいいのよ?」
「し、しないから!」
「まぁいいわ。責任はちゃんととってもらうからね」
「……お姉ちゃんには悪いけど、私は普通に男の人と結ばれるから」
そう言うと、お姉ちゃんは意味深な笑みを浮かべ、私をお風呂場に連れていった。
いくら私がこばもうと、いつも最後は普通に力技で連れていかれる。
「ほら、脱がせてあげるわよ」
「ちょ、自分で脱げるから!」
「じゃあ、私の脱がす?」
「ぬ、脱がすわけないでしょ!」
「えー、美葉は寝る時にいつも私のズボン脱がしてたくせに」
「ヴっ」
き、気がついてたの!? そこまでは寝てる時しかしてなかったはずなのに。
「私が気がついてないと思った?」
「そ、それは……と、とにかく! 昔のことは謝るけど、自分で脱ぐから!」
「しょうがないわね」
そう言ってお姉ちゃんは服を脱ぎ出す。
それに続いて私も服を脱ぐ。
「頭洗ってあげるよ」
「うん」
「体も洗うよ」
「それはだめ」
頭を洗ってくれるのはいい。昔からそうだし。いや、そう言ったら体も昔は洗ってくれてたんだけど、昔の私みたいに洗おうとしてくるから、嫌だ。……私が悪いんだけど、あの時は知らなかったし、知ってやるのと、知らずにやるのとじゃ全然違ってくる。……なんなら昔の私より知識がある分、お姉ちゃんに洗われる方が手つきがいやらしかった。……あの時ほんとに許可を出さなきゃ良かったって今でも後悔する。
「はい、これで終わりね」
「うん。じゃあ、私は体を洗うから」
そう言ってお姉ちゃんに座っていた椅子を譲る。
体をボディソープで洗った私は、お風呂のお湯で洗い流し、お風呂に浸かった。
「お姉ちゃん、上がったらアイス半分こして食べよ」
「ふふ、もちろんいいわよ」
私たちの姉妹仲はいい。
私はお姉ちゃんに姉妹以上の感情は抱かない。
だから、日に日にお姉ちゃんと近くなると、ドキドキするこの感覚はきっと気の所為なんだと思う。
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