女性経験なしのオレ、夢にまで見たケモミミ様の居る世界へ転移して、神にすらなれる能力をもらっていたみたいだけど、ケモミミハーレムを作ることにします。
たんぐ
ケモミミ様の居る世界
第1話 最高の夢を見させていただきます
最近、よく夢を見る。
アニメのキャラクターにガチ恋するの俺にとっては、最高の夢だ。
獣と人間のハーフ「獣人」たちがいる世界の夢を見ている。
犬の獣人、猫の獣人、竜人、吸血鬼…などなど、かわいい彼女たちの中でハーレム状態になってしまう。
毎回いいところで終わってしまうが、彼女たちをリアルに感じられるのはとても良いものです。
「信希ぃー、今日は私でしょー?」
「お前は昨日しただろ!今日はわたしだよ、ね?マ・サ・キ?」
「酔っ払いは黙ってなさいな、ワシが朝まで楽しむのよ」
「レストも一緒にしたいのー」
「ちょ、みんな!ワタシもまだなんだからー!」
「ボクも混ぜてよー」
「余は最後でも構わんから、しっかり楽しませてほしいのじゃ」
「信希様、わたくしも感じてみたいですの…」
「…夢ながら、最高だな」
──。
そうだ、大体いつもこのあたりで目が覚める。
(かわいい彼女たちをもっと愛でていたいのに…くそっ!)
まぁ、現実の世界とフィクションをごっちゃに考えるのはよくないよな。
すごい勢いで現実に引き戻される感覚に絶望しつつ、今日もオレは仕事を頑張っている。
─。
社会人になって2年が経っている。仕事はまぁまぁ、楽しくないが適度なやりがいがある程度だ。すべてはアニメの推しキャラを探すためだけにお金を稼いでいる。
世間から見たときに、いわゆるオタクに映ってしまうしまうのにはワケがある。
あれは中学の時に好きだった女の子へ告白して、盛大に、そしてコテンパンに振られてしまった。その時の衝撃で誰も信じられなくなってしまった。
一般の女性に恐怖を覚えてしまっているから…。というのは言い訳かな、二次元に逃げる口実にしているだけかもしれないが、アニメやゲームを楽しむようになってから、そちらに全力を注いでいるからこそオタクに映ってしまっても仕方がないだろう。
(今だったら、もっとうまく告白とかできるんかなぁ…)
疲れた思考から、今日もトラウマを思い出して憂鬱な気分で帰路についた。
帰り途中に見たくないものを見てしまう。
「ねぇ、ゆーくん。今年の誕生日はわたしがピザ作ってあげるねー?」
「おおー、いいね。咲那はさすがだな、最高」
(ちっ!リア充が…爆発しろ)
自分でも子供っぽいことをしているとは理解していても、ああいうのを見てしまうとイライラしてしまう。
「へいへい、どうせオレは夢の中だけの男ですよーっと」
コンビニで食事を調達して、自宅に帰還する。
「ただいまー」
今日もカワイイキャラクターたちを見つつ食事をとる。お風呂に入ってから、新着のチェック、恒例の推したち各シーンチェック、イラストの練習をしつつ一日が終わっていく。
「さて、寝るか」
ふと、昨日の夢を思い出す。
(今日もまた見れるかなー、カワイ子ちゃんたちだからなぁ、中々会えないくらいでも良いかも)
少しだけ会いたい気持ちで、オレは眠った。
──。
「今日こそ成功させるのだぞ」
「そんなぁ、毎日本気でやってますって」
「分かっている。それだけ見込みがあるということだ」
「なるべく急ぎたいのは、僕も一緒なんですから勘弁してくださいよー」
「ああ、頼んだ」
「人間を異世界転移させるのが、こんなに大変なんて…」
何かを頼まれた「ヤツ」が寝ている男の額に手を当てる。少しだけ間があいて、手のひらから光のようなものが出る。
(相変わらずスゴイ力だ。私の転移では、人間をあちらの世界に贈ることは出来ないからな…。「夢を見させながら」そのまま違和感なく我々の世界に転移させてしまうのだから、とてつもない力だ)
「おっ、なんとかイケそうですよ」
「本当か!?」
「それだけでは足りぬ、我が最強に至るスキルを与える」
「何か言ったか?」
2人と寝ている男しかいない状況で、2人組の片方が問う。
「え?特に何も言っていませんが…」
「勘違いか?何か小さな声で聞こえたような気がしたが」
「それよりも、見てください!」
寝ている男の体全体が発光し始める。
そして、消える。
「成功しているのか?」
「大丈夫だと思います『彼』が我々の世界に行くことを決めたみたいですから」
「どの程度の力を持っているか、把握することはできそうか?」
「いえ、さすがにそこまでは…。彼が夢の中でどのくらいの力を創造出来るかによって決まってきますからね」
「素晴らしいな、では我々も戻るとするか。まぁ、能力の方は近々分かるだろう」
「はい、転移はあなたにしか使えませんからね。お願いします」
「すべてはこれから始まる─」
──。
「ふぅ、今日も最高の夢になりそうだな」
(この夢はいつもここから始まるんだよなー。再現性があるとか神がかっている、最高だ)
どこかの小さな宿のような場所で、外の風景を見れば「ここが日本ではない」ことなどすぐに分かるくらいには、建物の作りや歩いている人たちの違いが目立っている。
おもに茶髪から、赤みがかっている髪の毛の人たちが多い地域などはオレの知る限りにはないはずだ。
「大体、最初だけゆったりとしていて、すごい勢いで事態が展開していくから、正直あんまり覚えてないんだよねー」
まずは荷物から確認していく。
短剣
硬貨のような銀色の何か
2リットルのペットボトルが3本、中身は水のようだ
非常食か?カコリーメイクの大きいやつが三日分くらい
それから衣類とカバン
(とりあえず、すべてを身にまとい、外に出てみよう)
肩から下げるタイプのカバンに入る程度の荷物なのはありがたいな、ゲームみたいだけどね。こういう時は魔法のカバンとかにしてくれると、重さも感じないからそっちのがいいんですけど…。
「ちょっと重たいな、しょうがないか」
カバンに荷物を入れ、衣服を着替えて、最後にマントを羽織って外出する。
「あの部屋は今日までの予約なのでー、まだ宿泊予定なら今聞いておきますよー?」
ここは宿屋で間違いないようだった。
(どうせ夢だし、宿なんていらんだろ)
「いえ、今日までで構いません。ありがとう」
いつも通りに、言葉も通じるみたいだ。
「あ」
そうだ、大体このあたりでどんどん思考が加速していく。
「もっと楽しみたいよー」
──。
「信希ぃー、今日も私でしょー?」
「お前は一昨日しただろ!今日こそわたしだよ、ね?マ・サ・キ?」
「酔っ払いは黙ってなさいな、ワシがまた楽しむのよ」
「レストも一緒にしたいのー」
「ちょ、みんな!ワタシもまたしたいんだからー!」
「ボクも混ぜてよー」
「余もしっかり楽しませてほしいのじゃ」
「信希様、わたくしも構ってほしいですの…」
「…相変わらず、最高だな!」
(そろそろ夢が覚めるな)
もう慣れたものである。まかせておけ、どうせ「いつものように」生殺しで終わるんだろ。わぁーってるって。
みんながベットに近づいてくる、一番乗りは「猫」っぽい女性だ。
「二ヒヒッ、レストが一番なのー」
彼女はそう言うと、オレの左手にしがみついてくる。
(ちょ、胸当たってるんすけど)
最高だ。いつもはここまでの感触を味わうことは出来ないだろう。楽しもう。
「ああ、かわいいね」
「恥ずかしいのー、レスト初めてだから優しく…」
ゴクリ。
(あ、夢が終わる)
そう思ったときには、スゴイ勢いで思考が巻き戻される。
──。
「はぁ、今日もいいところで終わってしまったな」
ひどいな、生殺しっていうのはああいうのを言うんだな。
目を開ける。
普段の寝起きはいつも通りの自室に居るはずが、今日だけは「夢で見た宿の部屋」に居た。
「あれ?おかしいな。まだ夢が続いてるんかな」
(どうせ、そのうち目が覚めるだろ)
なんて考えつつ、オレはいつも通りに荷物の確認から始める。
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