死にません

赤ん坊でなくなった私は

もう誰に愛されることもなく

一人の人間として尊重されることもなく

底意地が悪い女として

いじわるに生きていかなければならなくなり

しかし母は

生まれた時から苦労ばかりで可哀想で

そうしてその可哀想な境遇から生まれた

絶対的な正しさがあり

それで私を裁いてくれるそうで

ああなんと、なんと

愚かな

私は一人の娘として

あなたの子供として

生きていけていたなら

私はこんなにもあなたを

殺して差し上げたいと

思うこともなかった

私はいじわるな女ですから

私は可哀想じゃない

苦労知らずの

世間知らずの

男の子よりやさしくなくて

姉よりも頭のわるい

何にも出来ない

いじわるな女ですから

きっとずっと

死にません

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