『マラカイト・グリーン・ハーブス』
とある国のとあるサーカスに、
人々を惑わす大層美しいクジャクが飼われていました。
瞬き一つで霞を生み出し、唄声一つで夢心地。
尾羽一振りで国庫が潤い、誓い一つで荒事は終結。
宿る色彩は見る者を須らく虜にし魅了し、とにかく幻のように美しい鳥でした。
そんなクジャクは、ある夜、一人の神様に恋をします。
名前を満月と言いました。
決して叶わぬ恋をしたクジャクは、走って走ってサーカスを逃げ出し、
仲間の制止も振り切って、夜空に浮かぶ愛しい月めがけて走り続けました。
森を抜け山を越え、川を渡り影を飛び、青に緑に白黄色を振りまいて、
ただひたすらに走ります。
(愛しい満月の光を浴びてきらきらと光彩を振りまいたので、
森の女神たちが精霊の祭りと勘違いして踊りだしてしまったほどでした)
そうして疲れて、ついには一歩も動けなくなり、
農夫の畑で眠りこけてしまいました。
明けも白々。
それを知らずにやってきた農夫が、自身の育てたキャベッジだと勘違いして
クジャクの尾羽を引っこ抜き、
あろうことか美味しいサラダにして食べてしまいました。
食べた途端、夢のような夢の夢を見た農夫。
「これは」と食べ残したキャベッジの葉を再び畑に植えたところ、
なんと次々と緑の葉が茂るようになりました。
それらはそれぞれがクジャクの羽の色をした葉であり、
つまりは食する者を須らく虜にし魅了し、
とにかく幻のように美しい夢を見せたのです。
これこそ「マラカイトキャベッジ」のはじまり。
誰もが夢見る「サーカス」のはじまり。
尾羽を失ったクジャクは悲しみのあまり、一声泣いて死んでしまいました。
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『マラカイト・グリーン・ハーブス』
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材料
・マラカイトキャベッジ … 適枚
・敗れた夢の切れ端 … 適枚
・ドレッシング … お好みの物を
・パンくず … 少量
効能
・真っ赤になった人間を元に戻す
(見た目はもちろん、憤怒の感情も鎮めることが可能)
・解毒
レシピ
1、新鮮なマラカイトキャベッジ(適枚)を手で程よい大きさにちぎります。
(しんなりしてしまってる場合には
「ひっぱたいて蒸し鳥にしてしまおうか!」と
手を叩きながら言うと途端に根っこからシャキッとします。
しない場合は決して食べてはいけません)
2、1に敗れた夢の切れ端(適枚)を
カードをシャッフルするように混ぜ込みます。
(このとき和え添える「敗れた夢」が大きすぎるとショックも大きく、
真っ赤になった顔が真緑になったまま戻らなくなるので、
分量と内容にはご注意を!)
3、2にお好みのドレッシングをお好みの分量かけて置き、
葉がしんなりとしたら食べ時です。
最後にパンくずを散らしていただきましょう。
備考
新鮮ではないマラカイトキャベッジは根から腐り、
毒素が葉全体に回っているため
相手を毒殺したいとき以外には決して食してはいけません。
その特性から、マラカイトキャベッジを五株以上所有するには許可が必要です。
魔女と疑われますので、大勢のお客様を招いてのパーティなどの際には
注意しましょう。
量が過ぎると、夢から戻ってこられなくなるので要注意。
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