大人気アイドルな後輩を助けたら、懐かれて距離を詰めてくる。

LANDO

出会いはいつだってやってくる

「はぁ学校行くのだるいなぁ」


 こんな高校生男児ならみな言いそうな言葉を吐いたのはこの俺”海道かいどう いつき”である、とはいっても学校行きたいか、行きたくないかで言われたら行きたくないってくらいのものだ。


「お前もそんなこと言わずに学校で話せる人もっとつくったらいいじゃねぇか!」


 そんな馬鹿げたことを言うこいつは、俺の数少ない友達である”春日井かすがい 勇也ゆうや“だ、こいつは俺と違いクラスの中心人物でありたくさんの人と話しているのをよく見かける。


「そんな簡単に友達作って学校楽しめてるならこんなこと言わねぇよ...」

「友達作るのは意外と簡単だぞ?」

「馬鹿言うな、まずまずとして俺は狭く深くだから!」

「それ友達いない人が使う言い訳ランキングでトップ取れるぞ?」


 そのランキング誰得なんだよ!


「ま!別にいいよ俺は一人でマイナスを感じたことは、寂しいだけだから...」

「結構致命傷じゃないか?それ」

「うるせー俺が致命傷と思わなければ致命傷じゃねぇんだよ!」

「無茶苦茶や...」


 実際に気にしなければ0ダメージや!

 そんなこと言ってる間に学校へとついた...


「なんかあそこで人だかりができてない?」

「あそこで部活勧誘とかやってんじゃねぇの?」

「いやいやあんなに集まることはないだろ!」


 ひとが集まりすぎて熱を感じるレベルである。


「勇也なんでああなってるか聞いてきてくれよ?」

「いやなんで俺が行かないといけないんだよ!」

「俺に知らん人と話せると思うか?」

「...なんかすまん」


 同情すんじゃねぇ!余計に悲しくなるだろ!

 そういった会話をし、勇也を送り出した。

 一瞬で戻ってきた勇也は、少し驚いているような表情をしていた。


「で!あの人だかりは何なんだ?勇也」

「あの大人気アイドルグループ『STARS』のセンター、”一ノいちのせ 彩葉いろは”がこの高校に入学したんだってさ」

「へぇ...誰?」

「おまっ!知らないのかよ!」


 知ってるわけないやろ!アイドルとかあんま興味もったことないし...


「日本で知らないやつがいたんだな...」

「そのレベル!?」

「ちょっと調べてみたらわかるぞ!」


 そういわれたからちょっとだけスマホをつついてみたら、某動画アプリに出ているMV的なものが1億再生を超えていた...


「うわっ!マジで大人気やん...」

「だろ!俺もあっち行って見てみてぇ...」

「行って来たらいいやん!?」

「馬鹿言え!あんなとこ行ったら一日は抜け出せなくなるぞ!それに俺もそんなに興味があるかと言われたらないし...」


 そういって俺らは、人だかりにはいかず、クラス表を見に行くことにした...


「うえっ...勇也と一緒にクラスだ...」

「なんでそんな残念がるんだよ!話せる人がいてよかったろ!?」

「それ以上にうるさいというか...」

「泣くぞ!高校生がこの場で泣くぞ!」

「まぁ嘘だよ...」

「ツンデレじゃん!俺とそのまま付き合っちまうか?」


 きしょ!訂正してもいいか?こいつと一緒のクラスはいやかもしれん...

 そんな勇也と次のクラスについて話しあってた時だった...


「きゃあああああああああ!」


 叫び声がさっきの人だかりのほうから聞こえた...

 急いでそっちに目線を向けるとナイフを持ったオッサンが人だかりに走って行っていた。

 周りの人が逃げているようだがどうやらそのオッサンは目標の人がいるみたいで逃げた人を追いかけはしていなかった...


「あのオッサン誰を狙ってるんだ?」


 そのナイフを持った男性の目線の先には、さっき動画で見た一ノ瀬彩葉がいた...


「そういう魂胆か...」


 一ノ瀬彩葉は足がすくんでいるようでそこから動こうとしなかった。

 そして周りが逃げているため1人だけ残されている状況になっていた...


「周りの先生とかは助けに行かないのか!?」


 誰も助けようとしていない...まぁ予想はできていた、いくら先生とはいえ普通の人間だ、ナイフを持った男との戦闘経験がなければ、対処も教わったことがないであろう。


「勇也このリュック持ってろ!」

「おい!どこ行くんだよ!?」

「そんなん聞かなくてもわかるだろ!助けに行くんだ!」


 俺はもうそう言った時には走り出していた。


「おいやめろ樹!お前が行ったってなんも変わらねぇ!被害者が増えるだけだ!」


 おそらく勇也は俺のことを心配して言ってるのだろう、だが俺はもう止まらない!その理由はただ...あの子を助けたいと思ったんだ!


「勇也!心配すんな!絶対戻ってくるから!」

「ここは小説の世界でもなければ、お前は一般人なんだぞ!」

「お前は少しでも俺が生き残るように祈っとけ!」


 そうやって止める勇也を背に俺はナイフを持ったオッサンの方へ向かった...


 ☆


 誤字脱字あったら教えてくれると、助かります!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る