第13話ミレイ側妃side

「……は?……正妃?王太子妃?………… 誰が?」


「勿論、王太子殿下の正妃様についてです」


「え……?」


 なに?

 このメイド……何言ってんの?

 王太子の正妃って……なんで?


「き、妃は……わたしよ?」


「はい。ミレイ様は『側妃様』でいらっしゃいます。しかし、『正妃様』ではいらっしゃいません」


 どうして?

 私が王妃になるんでしょう?

 今は側妃なだけで、いずれは王太子妃になるのよ?

 だって私がヒロインなんだから。私は王太子妃になる。そうでしょう?だってそうじゃなかったらおかしいじゃない!


「三年です。ミレイ様が妃教育を始められて三年。妃教育は全く終わりが見えない段階です。ミレイ様の妃教育が終了するまでにあと何十年かかるか分からないと専門家が判断されたのでしょう。マナーつで問題になるのが外交です。国内では目をつぶれる行為でも他国の高貴な方々には通用しません。そもそも王太子妃が自国の歴史もまともに知らないというのは恥以外の何物でもないと思いませんか?自国の名産物が何かを知らないのでは話になりません。一国の王太子妃がソレでは困りまる、と思われたのでしょう」


「誰がそんなこと言ってんのよ!!」


「殆どの大臣方はそう考えているようですよ?」


「はぁ!?」


 メイドの言葉に絶句した。

 なんでよ?

 私だって頑張ってるんだよ?

 妃教育だってじゃない!なのに認めないのはそっちでしょう!!


 だいたい帝国の公爵令嬢ってなによ!?

 そんな存在いなかったじゃない!!どうなってんのよ!!!






「……あれが、ブランシュ・クリスティーネ・ヴァレリー?」


 帝国貴族。

 公爵令嬢。

 王太子の花嫁候補。

 婚約者の予定。


 これってアレかな?

 悪役令嬢第二弾ってやつ?

 最初の悪役令嬢が役割を果たさなかったから代わりが後からやって来た、ってパターン?……そうとしか思えない。


 なのにいつの間にかマデリーンは帰って来てるし、代わりの悪役令嬢にしたってそう。

 いっつも周囲に人を侍らせて、こっちにくる気配すらない。もう!困るのよね。ちゃんと動いてくれないと。あの女が嫌味を言ってくることは全くなかった。あ、でも周りにいる使用人は口煩かったっけ。



『この方をどなたと心得ているのですか』


『淑女としての嗜みを御存知でしょうか』


『帝国は側妃になられる方は伯爵家以上と決まっております。アクア王国は思い切った行動をされましたね』



 何が言いたいのかサッパリだった。

 王太子様は怒ってたから多分嫌味なんだよね?でもさ、相手が分からない嫌味って効果ないのよね。


 もっと、こう……分かり易く言ってくれたらいいのに。



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