164 フレドリクパーティのダンジョン攻略
フィリップが夜のテクニックを伝授されている間もフレドリクパーティのダンジョン攻略は進んでおり、最近では地下10階を攻めていると聞いたフィリップ。
「もうそんなに進んでたんだ!?」と、今後の予定を聞いて昼型に戻していた。
夜の街に繰り出すのはセーブして、ボエルに手を出そうとしたけど、夜は行くとこがあるんだとか。
「へ~。彼女、毎日求めるようになったんだ~」
「う、うん……殿下としていたことが役に立ってしまった……」
「そろそろ僕も仲間にい~れてっ?」
「入れるわけがないだろ!」
頭のおかしいフィリップは断固として仲間に入れないボエル。そりゃそうだ。
というワケで、ここ数日はイーダにキャロリーナから教わったことを試す毎日。
「どこからこんなこと覚えて来るのですか?」
「オリジナル~。もう、最近、インスピレーションが湧きまくって~」
「この体勢、ちょっと大変なんですけど……」
2人がどんな体勢でマッサージしているかはわからないけど、イーダはフィリップのせいで、日に日にエロに磨きが掛かってしまうのであったとさ。
そんなことをしていたら、フレドリクパーティは準備が整ったとダンジョン攻略に向かったので、フィリップも隠れてつい行く。
夏休みでもダンジョン内には少なからず生徒が歩いているので、天井に張り付いたり本気の動きで置き去りに。どちらにもバレないように、慎重にストーキングを続ける。
「う~ん……ちょっと見ない間にかなり強くなってるな。でも、ペースは遅い……あ、そか。ボス戦に疲れを残さないように進んでるのか。モブ君もすでにリュックがパンパンだから、回復アイテムも大量に買い込んだんだろうな~……なんかすんません」
アイテムボックスはフィリップが先に奪ってしまったので、大量の荷物を運ぶモブ生徒に謝罪するフィリップ。顔がニヤケているから、ぜんぜん反省の色は見えない。
ちなみにフレドリクパーティの現在のレベルは25になったところ。そのレベルなら上階のモンスターはほとんど一撃で倒している。
このメンバーで一番レベルが高いのは、フレドリク。パーティで戦闘しているのに何故か40もある。攻略サイトにもこの件は謎となっているから、経験値2倍とかではなく、ゲームの仕様だとフィリップの予想。
もちろんRPG好きのフィリップなので、レベル上げが楽しめないから「固定にするなよ~」と文句を言っていた。
無駄なく順調に進むフレドリクパーティを見ていたら、中ボスを倒して地下6階の行き止まりで夜営の準備をしていたので、フィリップも帰ろうかと思ったけど、もう少し見てる。
「今回はジャンケンなしで、聖女ちゃんはカイと寝るのか……持ち回りになったのかな? 相変わらずモブ君はかわいそうだ~」
3個のテントの割り振りを確認したフィリップであったが、やはり小さいテントに1人だけ押し込められるモブ生徒に感情移入してしまっている。
「うわっ……また覗いてやがんの……アイツら学習しないのか? いや、絶対、わざとやってるやん!」
ルイーゼが体を拭いているところを気付かず開けてしまうイベントは、今回も健在。なのでフィリップは確信犯だと関西弁になっちゃった。
「てか、誰か抜け駆けして聖女ちゃんとやっちゃったりしないのかな? もしくは、すでにやっちゃってる??」
これだけはどうしても確認したくなったフィリップは、フレドリクパーティが寝静まるまで待って、忍び足でルイーゼが寝ているテントに近付いた。
「寝てやがる……帰ろ帰ろ」
残念ながら、フィリップが望むような展開になっておらず。テントに穴を開けて覗いても、2人は寝袋にキッチリ入っていたのでフィリップも諦めて、酒場で夕食をしてから帰るのであった。
「こんな遅くまでどこ行ってやがったんだ!?」
「友達のところ。ごはんも食べて来るって書き置きしたでしょ~」
「第二皇子がそんなことでいいわけないだろ!!」
もちろん、自室に帰ったらボエルの説教は
「あと、殿下に友達なんて1人もいないだろ?」
「い……いないこともないんだからね!」
「どこにだ? 御見舞いに来るヤツは1人もいないぞ??」
「薄情なだけだよ~~~」
フィリップがあまりにも反省していないので、ボッチという弱点を突いてダメージを与えるボエルであったとさ。
翌日のフィリップは、ちょっとお寝坊。ボエルも逃げ出さないように見張っていたけど、寝室から出た瞬間に書き置きを残して消えていた。
そして本気のダッシュでやって来のは、ダンジョンの地下7階。地下5階までは生徒はいたけど、それ以降は見当たらないから楽ちんだ。少し出遅れたが、フレドリクパーティは地図の最短距離を進んでいたのですぐに見付かった。
「おお~。やっぱりモンスターはこのぐらい強くないとね」
上階ではモンスターが弱くてパーティ戦闘というよりは個人戦に近かったので、連携して戦う姿は見応えがある模様。
フレドリクとカイの接近戦。モンスの補助魔法。ヨーセフの攻撃魔法。ルイーゼの回復魔法とおっちょこちょい。ゲームでは見れない動きもあるから、フィリップも大満足だ。
危なげなくモンスターを倒して前進するフレドリクパーティを、後ろから近付くモンスターをファフニールソードで一蹴しながら進むフィリップ。
フレドリクパーティはたまにダメージを受けて、フィリップはノーダメージで進んでいたら地下10階に辿り着く。
ここもフレドリクパーティが慎重に進んでいるのを見ていたら、道を逸れて小部屋に入って行ったので、フィリップは忍び足で近付いた。
「あっ……結界来た。てことは、今日はここまでかな?」
時刻はおやつの時間前。壁に隠れて覗き見たらテントの設営をしていたから、明日のために疲れを残さないように早めに休むのであろう。
いちおうフィリップは、ここを拠点にレベル上げをしないかだけ確認していたら、あのイベントが発生。
「また覗いてる……なんなの? これも強制力なの? 毎回やってるなら、聖女ちゃんもいちいち悲鳴上げるなよ。R18に突入しろ!」
どうせやるなら、もっと激しいモノが見たいと
この時間なら寮の夕食に間に合うと急いで帰ったフィリップは、自室にボエルの姿がなかったので「どこに行ったんだろ~?」と寝室のドアを開けたら、ベッドの上で裸でもつれる女性2人を発見。
「あ……取り込み中だった? ゴメ~ン」
「なんでもう帰って来てんだよ!?」
その2人は、ボエルカップル。書き置きに「今日も遅くなるから、部屋を好きに使っていいよ」となっていたからお言葉に甘えていたのだ。
「思ったより早く用事が終わっちゃって……あ、続けて続けて」
「できるか! 謝ったんだったら出て行けよ~~~」
こんな場面を見られたら、恥ずかしいに決まってる。なのにフィリップはニヤニヤしながら椅子に座るので、怒ったボエルが寝室からつまみ出したのであったとさ。
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