124 2年振りの奴隷館
新しいメイドのことが楽しみなフィリップであったが、来るまで待ってられないので早くも仮病に突入。夕方まで寝て、1人になったら変装して城を抜け出した。
「ここは2年振りか~……」
やって来たのは奴隷館。子供が来てはいけない場所なのに、フィリップは感慨深く思いながら扉を潜った。
「ボク~? ここは子供が来ちゃダメよ~?」
たまたま入口にいたスタッフの女性はフィリップのことを知らないのか、注意しながら近付いて来た。フィリップはもうエロイ目で見てるな。
「僕はハタチだよ」
「20歳なんてウソついてもダメよ?」
「ハタチは名前。オーナーから僕のこと聞いてないの?」
「名前?? あっ!? 少々お待ちください!!」
スタッフは名前に心当たりあったらしく全力疾走で駆けて行ったので、フィリップは待っていようかと思ったけど、勝手知ったる奴隷館。真っ直ぐオーナー室に歩き出した。
「どこ行ってたのよぉぉ!!」
「オッフ……」
その途中でオーナーのキャロリーナが全速力で走って来て、涙ながらにフィリップを抱き締めた。フィリップは胸に挟まって嬉しそうな顔をしているので、再会の温度差が酷いことになってるな。
「ゴメンね~。急遽、帝都を離れるしかなかったの」
「もおうぅ~。死んだんじゃないかと思ってたのよぉ~。グズッ」
「ホント、ゴメンね。さっそくだけど、いい?」
「いいも悪いもないわよぉ~!!」
というわけで、再会の喜びは一旦保留。ショタコンのキャロリーナはフィリップをオーナー室に運び込み、貪り食ったのであった……
「す、凄かったね……」
「君不足で溜まってたのよぉ~。あの時は美味しいの出なかったしぃ~」
久し振りに会ったキャロリーナは、ショタコンど変態ロリを上回るマッサージを長時間したので、あのフィリップですらちょっと引いている。
美味しい何かはよくわからないけど、キャロリーナは搾り取って飲んでた。
「それよりどこ行ってたのぉ? みんな心配してたのよぉ?」
「ちょっと面倒事に巻き込まれてね。ほとぼりが冷めるまで他国をウロウロしてたの」
「帝国にいられない面倒事ってぇ……何したのぉ??」
「それは聞かないで。巻き込みたくないし」
「もおぅ~。怖いこと言わないでよぉ~」
こんな大金持ちの面倒事はさすがに聞けないと諦めたキャロリーナ。でも、お話はもう一発マッサージをしてから続きとなった。
「なんか変わったことあった?」
「そうねぇ~……君がいなくなってぇ、夜の街に活気がなくなったぐらいかしらぁ~?」
「そんなもんか。大捜索とかされてると思ったよ~」
「あ、したわよぉ。町を上げてぇ。でも、1週間も店は閉めてられないしぃ」
「そんなにやってたんだ……」
ちょっと寂しいなと思って質問したら、思ったより期間が長かったからフィリップもビックリだ。
「あとは~……第二皇子殿下が帰って来たぐらいかしらぁ」
「あ~。聞いた聞いた。遠くの学校行ってたんだっけ」
「まぁあたしたちには関係ない話だけどねぇ~」
「だね。そんな話より、新しくできたお店とか知りたいな~。あ、そうだ。絶対に妊娠しない女の子がいるお店とか知らな~い?」
「そういえばぁ……大人の体になってたわねぇ。君っていくつになったのぉ~?」
「ハタチハタチ。僕、永遠のハタチ」
今頃フィリップの体に言及するキャロリーナ。フィリップは言い訳するだけで、遅すぎるとは気付けていない。
しかしフィリップはハタチとしか言わないのでキャロリーナも諦めて、情報を与えながらフィリップの何かをマッサージしてる。フィリップもそんなことされながらも真面目に聞くのであった。
「ふぁ~。僕、そろそろ帰るよ」
昔なら明け方近くまで夜遊びするフィリップだが、今日は無理して出て来ていたので、深夜0時頃にはオネム。あくびをしながら服を着る。
「もうオネムなんてぇ、珍しいわねぇ~」
「キャロちゃんに早く会いたくて無理して来たの。明日からは他を回るから、ゴメンね~」
「私が一番だったのねぇ。嬉しいわぁ~。明日は我慢するからぁ、明後日には来てよねぇ」
「会いたい人が多いから難しいかな~? できるだけ急ぐから許して」
一番最初に会いに来てくれたと喜んだキャロリーナだが、フィリップと会うのを何日も我慢はできない模様。
そうして別れの挨拶をしたフィリップは、ドアに手を掛けた。
「おやすみぃ。フィリップ殿下ぁ~」
「うん。おやすみ~」
「「……え??」」
だが、キャロリーナが本当の名前を呼んだらフィリップは振り返って答えてしまい、固まった。キャロリーナもカマを掛けただけなので、同じように固まってしまった。
「ふぁ~……おやすみ~」
1分ほど時が止まっていたが、フィリップは無かったことにして部屋から出ようとしたが……
「いやいやいやいや。誰かに言っちゃうわよぉ~?」
「それは困る!!」
「あたしも困ってるぅぅ!!」
まさか第二皇子とマッサージをしていたなんて信じられないキャロリーナに呼び止められ、2人でワーキャーやり合うのであったとさ。
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