第38話 鑑定アイテムが欲しい その2

藍音の衝撃的な言葉を聞いて、俺の意識が此方に帰ってくる迄に時間が掛かった。


「………はっ!? 此処は誰? 私は何処?」


「翔真、言葉間違ってるよ。此処は何処? 私は誰だからね。 ちなみに此処は翔真のアパート。貴方は榊翔真。現在20歳の凄く格好良い男性だよ」


藍音が俺のボケに対して的確な言葉でツッコミを入れてきた。 ん? 今藍音が気になるフレーズを言った様な気がしたが……多分聞き間違いだろうな。うん。


自分の今の状況を考えると、今俺は横になっているみたいだな。 だって、立ってたり座っていたりしたら藍音の綺麗な顔が俺の目の前にある筈が無いんだから。


それにしても、後頭部に何とも気持ち良くて柔らかい感触があるんだけど。 それに何か凄く良い香りがする。 何とも言えない甘い香り。 いつまでも嗅いでいたい香りだ。 俺は後頭部の柔らかい感触がある場所に手を持っていき


" さわさわ……むにむに…… "


「きゃん♥️ し、翔真!? ま、まだそんな……早いよぅ💦 こんな事はもっとムードのある場所でしなくちゃ💦 私は拒ばないから焦らないで……ねっ?」


何を言っているんだこいつは? ムード? 拒まない? ……それに何だろう? この滅茶苦茶柔らかい物は? 手に物凄くフィットする感触は……?


…………はっ!? も、もしかして!?


俺は慌てて頭を起こし、その場から離れる。


「あんっ! もう少しこのままで良かったのに……翔真のいけず//////」


俺の目の前には正座をした藍音の姿が。それにモジモジと身体を揺らしている。 で、顔が赤い。


……どうやら俺は藍音に膝枕をして貰っていたみたいだ。そして、藍音の太もも辺りをむにむにしてしまったと……。


俺は即座にその場にとても綺麗な土下座を決めた。


「本っ当にすみませんでしたぁ!!」


ここは誠心誠意謝らなくては!! だって今さっきまで俺がしていた行為はいわばセクハラだから。


「気にしてないからもう良いよ💦 膝枕は私からした事だし💦 むしろ私にしてはご褒美だし💦」


「ん? 何か言ったか?」


「べ、別に💦 何も言ってないよ💦」


何で藍音は焦っているんだろう?


すると、俺と藍音の所にスノーがトコトコと歩いてきて


「藍音様、これが落ちてました。藍音様のですよね?」


とスマホを藍音に渡してきた。


「あっ、私のスマホだよ。良かった。失くさなくて。ありがとうねスノーちゃん」


藍音がスノーにお礼を言った時、スノーが藍音の耳元に近付き


「とりあえず頼まれた様に致しました。ちゃんと撮れていれば良いのですか……もし失敗していたらすみません(ボソッ)」


「大丈夫だよスノーちゃん。ありがとうね。スマホで私が翔真を膝枕している姿を録画してくれなんて頼んじゃってごめんね(ボソッ)」


「いえいえ。この位は全然構いませんので(ボソッ)」


……何か楽しそうに話をしている。流石女子同士仲が良いな。 


俺は近くにいた幸村を捕まえモフモフしながら藍音とスノーの姿を見ていた。



「……コホン。 翔真、さっきの話に戻るね」


「さっきの話に戻る? 何の話だっけ?」


「宝箱の鑑定アイテムの購入の話だよ」


そうだったそうだった。あまりにも藍音の貯金額の話にビックリし過ぎて忘れる所だったぜ。


「翔真は私にお金を出して貰うのは嫌だって話だったよね?」


「藍音にお金出して貰ってアイテム買ったら自分を許せなくなるからな。それは絶対にしたくない」


「そこで翔真に私から提案です」


「提案? 何の提案だ?」


「その鑑定アイテムを私が作るのならどうかな? 翔真受け取ってくれる?」


「えっ? 藍音、鑑定アイテム作れるの?」


「余裕だよ? 半日もあれば作れるけど?」


マ、マジか💦 そういえば忘れてたけど、スノー達の翻訳機も藍音が作ったんだった。


「じゃあ図々しいと思うけど、お願い出来るか?」


「うん。任せて♥️ そうと決まればチャッチャと作っちゃうね」


「宜しく。いつもすまんな藍音」


「それは言いっこ無しだよ翔真♥️」


すると藍音は部屋の中をキョロキョロしだし


「ねぇ翔真、このサングラスと壊れた腕時計とVHSのビデオデッキを貰っても良いかな? アイテム作る時の材料にしたいから」


と俺にお願いしてきた。 腕時計は壊れて動かないから捨てようと思っていたやつだから良いとして、サングラスは少し惜しい。お気に入りのサングラスだからなぁ。 でも鑑定アイテムの為だ。涙を飲んで寄付するとしようか。 で、このVHSのビデオデッキは何に使うんだ? 使い道無さそうに見えるけど。


「ああ。持っていきな」


「ありがとう翔真♥️ 期待しててね♥️ スッゴいの作るからね♥️」


そうして藍音はアイテムを作る為にラボへ向かって行った。 勿論重たい荷物は俺がラボ迄運んだけど。


それから藍音は本当に半日で宝箱の鑑定アイテムを作り上げてしまった。


「ジャジャ~ン! 翔真、はい鑑定サングラスだよ♪ 使い方はとっても簡単♪ 只サングラスを掛けて宝箱を見るだけ。 それだけでその宝箱にどんな罠が掛かっているかが分かっちゃうよ♥️」


こ、これは本当に凄いアイテムだ! 便利過ぎて怖い位だ。


「ついでにはい。これも作ったよ♪」


藍音は腕時計を俺に手渡してきた。 腕時計?


「何だこれ? お前の事だからただの腕時計じゃ無いんだろ?」


「ご明察♪ その腕時計にはトラップ解除をする為のツールとピッキングツールが付いている優れものなのだ! 助かるでしょ翔真?」


……罠の解除と解錠の事忘れてた。 た、確かに宝箱の罠が解っても、解除が出来なければ駄目だもんな。それに、宝箱に鍵が掛かっていたら宝箱開けられないし。 スッゴい助かる。


「サンキュー藍音♪ 愛してるぜ♪」


「ふぇっ!?」


俺が感謝の言葉を藍音に告げると、藍音は奇妙な声を出してからその場にフリーズしてしまった。


ど、どうしたんだ藍音!? お~い! 帰ってこ~い!




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m

























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