第23話 信仰ポイントだよ


「ふぅ…………」


 風呂からあがって、俺は一息つく。

 そういえば、俺の家はどうなるのだろう。

 俺、今晩どこで寝ればいいんだ……?


 街には、空き家もいくつかあったと思うが……。

 あ、でもエルフたちの住む分で埋まってしまったかな。

 新しく家を建ててもらうにも、時間がかかるしなぁ。


 今日はリンダの家にでも泊めてもらうかな。

 俺はリンダに話しかける。


「なあ、おい。今日はリンダの家にでも泊めてくれないか?」

「えぇ……!? セカイ様、いいんですか? 俺なんかの家で……」

「俺なんかって、お前もと村長だろ。一番広い家に住んでるじゃん」

「光栄です……! ぜひ泊っていってください。俺は構いませんよ」


 しかし、そこにエルフのエラが話に割り込んできた。


「だ、ダメですよ! セカイ様はもっとちゃんとしたところで寝ないと……!」


 リンダが失敬な、と言った感じで顔をしかめる。


「俺の家だってちゃんとしてるわ……!」

「とはいってもなぁ……他に家なんかないだろ?」


 俺がそう言うと、エラは、


「じゃあ家がないなら、建てればいいじゃないですか……!」

「いや無理いうなよ……! こんな時間からできないだろ!」

「? できますよ……?」

「え……?」


 するとエラは俺の胸元を指さして言った。


「信仰ポイントを使えばいいじゃないですか!」

「信仰ポイント……? なんだそれ」

「世界樹様には、信仰ポイントというのがあるんですよ」

「あー、なんか俺がこの姿になるときにも、信仰パワーがどうとかって言ってたな」

「まず、ステータスオープンと唱えてみてください」

「ステータス……!?」


 この世界にも、ステータスがあるのか……?

 そういうのを見るのには、鑑定スキルがいるんじゃないのか?

 たしかに異世界っていえば、ステータスオープンのイメージがあるけど……。

 世界樹の俺にもステータスがあるなんて……。

 世界樹のステータスってどんなんだ?


「俺、鑑定スキルとかもってないぞ?」

「大丈夫です。自分のステータスを見るのは、世界樹様にもともとそなわった能力ですから。前の世界樹様も、こうやっていました」

「じゃ、じゃあ、ステータスオープン……!」


 俺は言われるままに、恐る恐るそう唱えた。

 すると、



=================

 名前 セカイ=コトノハ

 樹齢 300年

 世界樹Lv 1

 

 体力 3800

 魔力 4300

 攻撃 1700

 防御 1500

 魔攻 2800

 魔耐 2500

 敏捷 1800

 運  2300


 信仰ポイント 9000

=================



「この世界樹レベルってのは……?」

「世界樹様としてのレベルですね。セカイ様は、まだこの世界の世界樹になったばかりなので、1です。これが上がると、信仰ポイントでやれることが増えていきます」

「ふーん」


 とりあえず、信仰ポイントが9000たまっている。

 この信仰ポイントを使えば、いろいろなことができるのか……?


「とりあえず9000信仰ポイントあるんだけど……」

「それなら、家を建てるのに十分ですね」

「そもそも、信仰ポイントってのは、なんなんだ……?」

「世界樹様に対するみんなの信仰心を集めたものですね。つまりは、この街のみんなに慕われれば慕われるほど、得られるものです。毎晩私たちエルフがお祈りをささげているのも、この信仰ポイントを貯めるためですね。信仰ポイントは、世界樹としての能力を使用する際に、対価として使うポイントです」

「うーん、よくわからんけど、とりあえず使ってみるか」

「そうですね。習うより慣れよです。まずはメニューを開いてください」

「こうか……? メニュー・オープン」


 すると、俺の目の前に、ステータス画面とよく似たUIの画面が現れた。

 メニューには、さまざまな出来ることが記されている。

 世界樹として利用可能な機能がたくさんある。

 すごい、なんでもできるな……。

 もしかして、世界樹って、この世界の神のようなものなのか……?


 

===============

メニュー


 建築

 購入

 売却

 創造

 設置

===============



 えーっと、じゃあ家を建てるには、この建築っていうのを選べばいいんだな。

 メニューから、建築の項目をタップする。

 すると、ずらーっと、建築可能な家の画像が表示された。

 まるでカタログだな。

 小さなログハウスから、大きめの屋敷、果ては城までさまざまだった。


「この中から、お好きな家を選んでください。セカイ様にふさわしい、大きな家を建てましょう!」

「うーん、そうだなぁ……どれも魅力的な家ばかりだ……」


 信仰ポイントを全部一気に使ってしまうのは、まずい気がする。

 だけど、せっかくなら大きい家がいいよな。

 少なくとも、村長の家よりでかいのがいい。

 俺は、よさそうな家をひとつ選んだ。

 大き目のお屋敷って感じの家だ。

 高級感のあるお屋敷を選択する。

 すると、建築しますか? と表示された。

 俺はイエスを選ぶ。


 ――ドーン!


 俺たちの目の前に、いきなり先ほど選んだお屋敷が現れた。


「おお……!? すげえ……!」


 なるほど、信仰ポイントはこう使うのか。

 簡単に家が建ってしまった。

 信仰ポイント、便利すぎる……。

 5000信仰ポイントを使ったので、残りは4000だ。

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