　曹操が許褚を使って袁譚を拷問していた頃、曹丕は中々開かなかった朱色の建物の扉を強引にぶち抜いた。

　曹丕「やっと開いたな仲達」

　司馬懿「はい。ここまで厳重だったのです。袁尚や袁煕が隠れているか。噂の袁煕の妻がいるのかと」

　曹丕「お前たち、わかっているな。全員、捕えろ」

　公孫度「だそうだ。曹丕様の命を遂行せよ」

　遼東の太守をそのまま任された公孫度が曹丕に付き従って、指示を出していく。

　甄姫「手荒な真似はおやめなさい。ここにいるのは、民です。兵ではありませんよ！」

　公孫度「それもそうだな。皆、抵抗をせぬ者には、寛大な処置をするのだ」

　民老「甄姫様、ワシらのために。どうして逃げてくれんかったんじゃ」

　民女「袁煕様が見捨てていったって本当なんですか？」

　民男「アイツら自分たちだけ逃げやがって、どうして袁譚様だけ」

　甄姫「そうです。憎むべきは曹操軍ではなく逃げた袁尚と袁煕です(袁尚様と袁煕様のことを信奉している人間が居たら酷い目に遭うでしょう。戦闘に参加していた民たちに悪いことをさせてしまいました。彼らは全てを知っているというのに。それに呼応して他の者たちも袁尚様と袁煕様のことを悪く言ってくれました。これで、なんとか大丈夫でしょう。後は袁譚様ですね。でも、その前にやらなければならないことが)」

　中から連れてこられた女の中で一際見た目麗しい女性に心惹かれる曹丕。

　曹丕「美しい。おっ俺としたことが見惚れるとは。お前、名前を何という？」

　甄姫「袁煕に捨てられた女です」

　曹丕「袁煕？じゃあ、お前が袁煕の妻の甄姫なのか？」

　甄姫「はい。貴方様はどちら様でしょう？(この出たち、曹操ではありません。ですがこの際、この子を守るため。宿っているかまだわかりませんが既成事実を作らなければ、早く曹操の元に案内してもらわないと)」

　曹丕「そうか。ハッハッハ。父よ。甄姫は俺がもらうぞ。仲達、他の民を連れて、先に父の元へ行け」

　司馬懿「かしこまりました。曹丕様も羽目を外し過ぎませんように」

　曹丕「うむ」

　司馬懿が中にいた民たちを連れ、曹操の元へと向かうと曹丕は、甄姫を連れて、朱色の建物の奥座敷へと消えていく。

　甄姫「曹丕様？なっ何を？(曹操の御子息の曹丕！？この際、こいつでも構わない。この子が守れるなら)」

　曹丕「俺は人妻が大好きだ。旦那を裏切る姿がたまらない。そう思っていた。だがお前は別だ。袁煕の妻でも関係ない。お前は今日から俺の妻だ。良いな」

　甄姫「曹丕様がそういうのが好きなら協力してあげますわ(この男を興奮させて、子種を貰います)」

　曹丕「！？俺はようやく巡り会えたのかも知れない最高の女に」

　甄姫「やめてくださいまし。私には心に決めた人が。強引に迫るなんて、それでも人ですか！(袁煕様、ごめんなさい。貴方以外に抱かれます。この子を守るために)」

　曹丕「もう始まっているのか。こうやって罵倒されるのも偶には悪くない。だが俺は罵倒したい側なのだ。覚悟せよ甄」

　甄姫「いやいやいや、やめてやめて。袁煕様、助けて(自然と涙が。袁煕様、逢いたい。ダメね私)」

　曹丕「演技でここまでできる女がいるとは、良いぞ。その涙良いぞ。ほら、ここだろ。女はこうやって強引に素早く出し入れされるのが好きなのだろう」

　甄姫「うっくふぅ(痛い痛すぎる。袁煕様なら、もっと舌で愛撫してくださって、トロトロに慣らしてくださいますのに、勢いだけで、全然。こんなの痛いだけ。でも耐えないと)」

　曹丕「その苦悶に満ちた顔。良いぞ。本当にお前は最高だ。すぐに果ててしまいそうだ」

　甄姫「キモチイイ。袁煕と全然違う〜。袁煕に未練たらたらの私に新しい旦那様の力を思い知らせてくださいまし」

　曹丕「堕ちた表情までしてくれるのか。こんなに嬉しいことはない。良い。良い。最高に気持ちいいまぐわいだ。出してやる。奥の奥で出してやる。行くぞ甄」

　甄姫「曹丕様〜愛してます〜」

　曹丕「情熱的に首に手を絡ませて俺を離さないとは、良いだろう。お前の想いに答えよう。愛しているぞ甄」

　曹丕は、甄姫の中に子種をぶちまけるのだった。

　甄姫「ハァハァハァ(耐えたわ。それにしてもイタイ男ね。こんな強引なので喜ぶ女なんているわけないでしょ。演技？泣いてたのは本物よ。そんなのも見抜けないなんて、お粗末な男。袁煕様と何もかにも違う。残念な男。その様子なら父である曹操にもあまり相手にしてもらえてないんじゃない。まぁ、でもこれで子が出来たことにすれば、この子は守れるでしょう。曹操は側室も正室と同じように愛すと聞きます。私が堕とされることはないと思っていましたが。この馬鹿で良かったのかも知れません。袁煕様、こちらのことは心配しないでください。だからどうかどうか死なないで。離れていても貴方のことをずっとお慕い致しております。貴方は政略結婚だとずっと思っていたかもしれませんが私はずっと貴方のことが大好きなんですよ)」

　曹丕「これで子ができたりしてな」

　甄姫「えぇ。お腹に魂が宿ったような気もいたしますわ(貴方の子じゃないけどね)」

　曹丕「最高に気持ちいいまぐわいを提供してくれた礼に頼みを一つ聞いてやろう」

　甄姫「それなら袁譚の処刑をお止めください。袁譚は、袁尚や袁煕が逃げてもこの場に留まり、民たちを勇気づけて居ました。必ず曹丕様のお役に立てるかと」

　曹丕「成程な。そういうことならやぶさかではない。それに父が説得できなかった男が俺に説得されるなんて最高に面白いじゃないか」

　甄姫「感謝します曹丕様」

　こうして、曹丕は曹操に袁譚の処刑を取りやめるように迫ったのだった。その影では、甄姫が大好きな人の家族を守るため我が身を削っていたのである。