路地裏の生活

 ネズミなどの小動物が走り回る。

 さらに冷たい風が抜ける裏路地で、身体を小さく丸め。寒さに耐えている少年がいた。

 少年の名はセルジオ・クシランダー。

 手入れのされていない長髪のボサボサ髪。手足には多くの傷。そして身につけているものは、ボロボロであちらこちらに穴や継ぎ足した跡がある薄汚い服だけ。


 人間界は近年発展し。豊かになっていた。

 しかし路地裏では少年のような底辺庶民が日々生きるか死ぬかの状態が続いていた。

 とくにこの少年。セルジオは底辺庶民の中でも過酷な生活を送っていた。

 なぜなら、セルジオは使のこの国。世界で魔術が全く使えないからだ。

 

 なお、セルジオのような生活をしている人は少なからずいる。

 現にこの路地裏でも少し歩けば、セルジオと同じような人を見つけることができるだろう。けれど、セルジオほどボロボロの者はなかなかいない。

 何故なら底辺庶民と言われても皆使からだ。

 たとえ今は家がなくても、自身の魔術で暖を取る。清潔を保つなどのことは容易にできる。ギリギリの生活だが。ギリギリなりにも何とか生きていける水準ではあった。

 そして、きっかけすらあれば、すぐにこの路地裏生活からおさらばできる状態だろう。

 その者たちから見ると、セルジオは間違いなく。この世界で現在一番過酷な生活をしていた。魔術が全く使えないためだ。

 セルジオの路地裏生活は既に数年に及んでいる。だから少年のことを知っている人は少年のことをこう言う。


 無能底辺庶民セルジオ。

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