第十二話プール

ほたるはいつもどうりの学校生活を営み家に帰ってきた。


 だが明日から地獄の日々が待っていることをほたるはまだ知らない。




「明日は、水泳…………」




 ほたるは地獄の日々がやっきたことを悟る。


 そうほたるは全くもって泳げない、ビート板を使ったところで沈んでしまうほどのカナヅチであった。




 そして次の日


 


 水泳の時間が来てしまった。


 ほたるは水泳授業が来たことを実感し絶望しながら水着へと着替えていた。


 するとにちかが近寄ってきた。




「ほたる~なんか暗いぞどうしたんだ?」


「私……泳げないの」


「泳げなくても頑張れば泳げるようになるって! 頑張ろうぜ!」


「どうしたの~?」




 にちかと話しているとゆりかとめいひもほたるの暗い顔を見て近寄ってきていた。




「ほたる泳げないんだって……だから頑張ろうなって言ってたんだ」


「え~ほたるちゃん泳げなかったんだ、もったいない! 気持ちいいのに」


「実は私も泳げないんだ」




 めいひが唐突にカミングアウトした。




「おーよかったなほたる! めいひといっしょなら楽しくできそうじゃん」


「うん……」




 ほたるは励まされたが水泳の絶望感にはあまり効果が無かったようだ。




 更衣室を出るときもプールサイドに整列するときもずっとほたるは暗かった。




 「それではシャワーを浴びてください」




 先生がそう言うとシャワーのバルブを開き地獄のシャワーが爆誕した。


 もうこの時点でほたるの体がブルブル震え拒否反応を出していた。


 だが無情にもシャワーの列は進みホタルの番が来てしまった。


 


 「うーー冷たい」




 冷たいシャワーがほたるの体と精神を蝕む。


 ほたるにとっては数秒間しか無いシャワーを浴びてる時間はとても長く感じられた。


 本題のプールに入ると清雅高校のプールは高校生用のプールなのでとても深く、ほたるを含め多くの人は足が付かなかった。




「ごぼぼぼぼ」




 ほたるは早速溺れ始めた。




「ほたるちゃん大丈夫?!」




 めいひは水中ジャンプが出来るので溺れずにすんでいた。


 ほたるが溺れているのを先生が見つけて浮き輪を投げたことによってほたるは事なきを得た。




「ほたるさん大丈夫ですか?」


「は、はい……」


「体育の評価は下がっちゃうけど……保健室で休みますか?」


「はい……」


「それじゃあ保健委員さんに付き添ってもらってね」




 大声で先生が保健委員の生徒を呼ぶとほたるを保健室に連れて行かせた。


 


「失礼しますほたるさんが溺れたので運んできました」


「おつかれさま、じゃあ私が引き継ぐから行っていいよ」


「ほたるさんだね、じゃあ今の時間休んで行けそうなら次の授業から行こうね!」


「はい」




 ほたるはベッドで休んでいると授業の終わりの鐘がなった。


 しばらくするとゆりかたち三人がやってきた。




「大丈夫かほたる!」




 ゆりかとめいひは後ろから心配そうに覗いていた。




「保健室では静かにしてください!」


「すみません」




 にちかがほたるを呼んだせいで保健室の先生に怒られてしまった。


 するとほたるがベッドから出てきた。




「大丈夫だよ次の授業に行こう」


「おう、ほたる心配したんだぞ~」




 にちかはほたるを抱きしめてほたるは動揺した。




「うん! 行こう」




 四人は次の授業をしに教室へと向かっていった。


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