東京崩壊

■ 起

 小林純一(こばやし じゅんいち)、32歳。彼は有名な建築家である。東京では彼が設計した建物が至る所にある。しかし、東京を襲った大地震により、彼の作品達も次々と倒壊していく中、自分が何も出来なかったという無力感に苛まれていた。


■ 承

 人々は地震の後、新たな生活を始めようと頑張っていた。しかしそれも束の間、日常が続かない出来事が次々と起こる。行方不明者の発生、食料品店の略奪、そして政府からの放送である。

 「東京都内で新型ウイルスが発生したため、全ての市民に自宅待機を要請します。」

 「何だって?!このままじゃ、俺達はどうなってしまうんだ!?」

 そんな声が町中に響く中、建築家・純一は自宅待機中に重大な決断を下す。


■ 転

 純一は罹患した市民を助けるべく、医療用マスクや消毒液等を提供する活動を始めた。彼の行動に共感した人々も彼に続き、何度も危険を冒して物資を集め、市民に配る。

 ある日、純一は自分が設計した高層ビルの建物内に人々が住んでいることを知り、中に入ってみることにした。そこで見た光景に彼は驚愕する。どこからともなく引っ越してきた人々が、ビルの中で小さな社会を築いていたのだ。彼らは水や食料品はもちろん、自作した小さな畑まで作っていた。その光景に純一は感動し、愕然とした。


■ 結

 東京は崩壊し人々は自分達で生きていく方法を模索し始めた。しかし、純一は「誰かを助けることで、自らが救われる」ということを知り、互いに手を取り合って生きていく希望を見つけた。純一は建築家として再起することは出来なかったが、彼の行動が人々の心に明かりを灯し、新しい東京を築き上げる原動力となったのであった。

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