前のエピソード――満員電車で潰れそう

ミステリー

■ 起

吉田風太郎（よしだふうたろう）、26歳、見た目は普通のサラリーマンだが、彼が持つ筆は神がかり的な才能を秘めている。彼の筆によって書かれた小説は、読む者を魅了し、熱狂させることができた。

　しかし、彼には一つの悩みがあった。それは、自分の書いた小説の登場人物に恋をしてしまうことだった。

■ 承

ある日、吉田さんは自分の作品に登場する女性「花子(21歳)」に話しかけられた気がした。しかし、花子は小説の中でしか存在しない人物だった。風太郎は戸惑いながらも、花子に挨拶をした。

　花子は、「明日、私達は再会する」と言った。

■ 転

翌日、吉田さんは約束の場所に向かった。そこに立っていたのは、花子ではなく小説の中で登場する男性「太郎(24歳)」だった。吉田さんは戸惑いながらも、太郎と話をした。

　すると太郎は、「私もあなたの小説の中で生きている人物です。今日、私が現れることであなたに伝えたいことがあるんだ」と言った。

　太郎は吉田さんに「小説の中の私達は、あなたが書いた世界にしか存在できない。しかし、私達はあなたを通じて生まれ、あなたが愛する人物になっている。明日からもう一度、あなたが私たちを生み出してくれるようお願いしたい。私たちはあなたの才能によって生まれ、あなたの書く物語でしか生きられないのだから」と語りかけた。

■ 結

吉田さんは、太郎の言葉に心を打たれ、再び小説を書くことを決意した。彼は自分が愛する世界を紡ぐことで、小説の中で生きる花子や太郎達に再び命を吹き込むことができるのだと気づいたのだった。