第126話 シークレットエリアボス
―― Gyulya、Gyula、Gyulaaaa!
咆哮に合わせて麻結さんの頭上に三つの魔法陣が浮かぶ。
麻結さんだけでなく、皆が大きく広がっていく魔法陣を呆然と眺めていた。
「お嬢様っ!!」
「危ないっす!!」
少し離れたところからクレスさんが叫び、
そして、魔法陣から石礫と呼ぶには大きすぎる岩が現れ二人の周りに落ちた。
「お嬢様ぁぁっ!」
「わ、わ、若様ぁっ!」
巨大な岩の落下音に我に返った皆の悲鳴が響く。
慌てて戦闘態勢を取るボクらを見下ろすボスの口も開いた。
―― 『我に傷を与えし強者は封じた。それでは、汝らが先へ進むに相応しいか試練を始めようではないか!!』
Gyula、la、laaaa!
眼を爛々と輝かせた虎は歯を剥き出して獰猛に笑っていた。
「えぇっ!? 喋ったわん!」
∴[え、そこ? 確かにボス系で喋ったのは何気に初だけど……人型の古の機死人も無言だったけど]
◯[いや、
❤〚良かったぁ。岩の隙間から手を振ってるし無事っぽいね〛
ボス虎さんの『封じた』という言葉通り大岩は麻結さんと焙火くんが出れないように周囲を囲んではいるが、潰されてはいなかったようだ。
試練についてはワールドエリアボス『古の機死人』の時は権限解放の試練ってシステムメッセージが言っていた気がするが、特殊な条件のエリアボス戦なんだろう。
「ともかく、戦闘開始わん!」
「おうっ!」「殿下を救い出すぞ!」
「お嬢様、しばらくお待ち下さい!」
それぞれ武器を構え直し、エリアボスに対峙する。
こちらの戦力は騎士団員に探索者パーティ『眉無し団』のそれぞれ六人パーティの十二人、それに、ボク、クレスさん、キャンベルさん、そして、レヴィさんの合計十六人だ。
麻結さんと焙火くんが囚われていて対エリアボスのレイドバトルとしては若干戦力不足とも言える。
「ワンコよ、皺眉ワンコになっておるぞ」
「え、ウソ、それは困るわん。これでも癒し系ゆるキャラ枠なんだわん」
焦燥が顔に出ていたのかレヴィさんにつつかれた。
「我もあのような存在は初めて会うが試練と言うからには攻略も可能なはずだ。それに……、既にかなり弱体化してないか、アレ……」
ジト目のレヴィさんが目を向けた先にはエリアボスの額に深く突き刺さった『
▽[……アレ、待ってたら出血ダメージで倒せるんじゃね?]
∈[出血ダメージ最強説あるあるにゃ。けど、出血ダメージだけでは死ななかったはずにゃ]
◯[ところでさ、アレにどうやって攻撃するん? 湖の上に浮いてるんだけど……]
確かにニョロっと長い竜の体を少しくねらせながら湖の上に浮いていた。
まずは魔法を使った遠距離攻撃で……って、魔境に入ってからも魔法を使う人はいなかった気がする。精霊がいないってことはもしかして魔法もない?
「うん、イナバくん、ナギサくん、お願いわん」
「きゅっ、きゅっー!」「しゃっ、しゃっーく!」
殺る気、いや、やる気満々で二匹の精霊が顕現する。
「せっ、精霊様っ?!」
「え、まじ、わん太様精霊使い?」
イナバくん達を見ていなかった一部の騎士団員と『眉無し団』のメンバーが驚きの声を上げる。
「我も最初に見た時は吃驚したがな。ほれ、お前ら呆けてないで弓を構えろ、まずはアレを落とすぞ!」
「うっす、すいません姉御」
「きゅぅっ!!」「しゃっ?!」
レヴィさんの声に獣人の射手が慌てて弓を引き絞る。
イナバくんもナギサくんの頭の上に載り、ボスと同じ高さまで浮き上がった。
「きゅっ、きゅっきゅっ、きゅっきゅっきゅっ――」
イナバくんの周りに魔法陣が浮かぶ。
一つ、二つ、三つ、四つ。
いつになく気合が入っている様子だ。
❤〚もしかしてイナバくん、おこ?〛
∴[あぁ、同じ土系魔法だからボス虎に対抗してるのか]
▽[あっ、水魔法足された……]
「しゃっ、しゃしゃぁーっく、しゃしゃっ――」
四つの魔法陣に更に青色の魔法陣が重ねられる。
「お前ら、一斉に射つぞ!」
「騎士団整列! 狙え!」
「はっしゃー! おーらいわん?」
「――きゅーーっ!!」
「――しゃーぁっく!!」
―― Gugyaaaaーーーー!
魔法陣から次々と水を纏った石礫が打ち出され、エリアボスがその身を捩る。
―― Gulyaaaa---! Gulyaaaa……
ふらつくエリアボスに放たれた矢が刺さる。
―― Gulya…… ドボン!
そして、落ちた。
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