14.初デートその2!

 やって来たのは、特大フルーツパフェ専門店だ。

 最初に来ようと言ったのはユリだが、説明を聞いたコスモも来たいと思っていた店だ。


「特大苺パフェ! 実に美味しそうだ!」

「えっ!? 1人で食べるんですか!?」


 ユリは他の客が頼んだ特大苺パフェをチラリと見る。


「あんなに大きいんですよ?」

「確かに、1人だと厳しいかもね」


 想像以上に大きかった。

 コスモの顔、つまり16歳の頭4個分はありそうな、その名の通り、まさに特大なパフェであった。


「一緒に食べましょうよ。残すのはもったいないですよ?」

「確かにそうだね」


 残すのはマナー違反だ。

 完食する為にも、2人で食べた方がいいだろう。


 コスモは店員に特大苺パフェを注文する。

 しばらくすると、店員がそれを持ってくる。


(実際に目の前に来ると、思ったより大きく感じるね)


 コスモはあまりの大きさに、これは1人では食べきれないなと、思うのであった。


「アイス、生クリーム、苺……どれも凄い量だね」

「本当ですね! 太っちゃいそうですね!」

「はは、動けば大丈夫さ」


 多分、動けば大丈夫だろう。


「あのー」

「ん?」


 パフェを持って来た店員が話しかけて来る。


「本日、カップル割なんですけど! えーと……どうですか?」


 店員がこちらを見て、その後すぐに目を逸らす。

 イチャついてると思われたのだろうか?

 安くなるのはいいが、嘘をつくのは……。

 コスモがそう考えていると。


「はい! カップルです!」


 ユリが嘘をついた。


(え?)


 コスモがユリを見ると、ユリがウインクを飛ばす。

 会わせろということだろう。


「そんな感じですね!」


 コスモが店員に言うと、料金を安くした伝票を置いていった。


「やりましたね!」

「嘘ついたね? まぁ、私もだけど」


 コスモが耳元でボソッと言う。


「嫌でしたか?」

「嫌じゃないけど、うん」


 嘘はよくない。

 口には出さなかったが、コスモはそう思った。


「たまにはいいじゃないですか! えへへ」


 ユリが嬉しそうなので、ヨシとした。


(そういえば、ユリは私のこと好きなのかもしれないんだよね。自意識過剰だったらまだいいんだけど)


 コスモは恋愛というものが理解できなかった。

 性的欲求が強い者を、ぞくに変態と言うが、そのような欲求を持たない方が人間として変態なのではないだろうか?


(本当、ユリが告白してきたらどうするべきなんだろう? でも、これからずっとユリとは活動していきたいし……ユリは料理も得意だし)


 悩んでいるコスモに、ユリが言う。


「どうしたんですか?」

「なんでもないよ」

「もしかして、本当はカップル扱いされたの嫌でした!?」

「いや、嫌じゃないけどさー」

「だったら良かったです! さぁ、食べましょう! はい! 口を開けてください!」

「自分で食べられるよ」

「カップル設定ですから! さぁ! 脳内で腕を折ったから食べさせてもらってるって設定でもいいですから!」

「わ、分かった」


 コスモは強引に食べさせられた。

 アイスが溶けてしまうので、その後は普通に食べた。


「いやぁ、お腹いっぱいですね!」

「ステーキも食べたからね。今日は、夕食は時間後ろ倒しにしよう」

「そうですね! あ、そういえば! この前シチュー食べたいって言ってましたよね! 材料買って帰りましょうよ!」


 確かに、以前言った。

 シチューの材料を買って帰ることにした。

 ユリは慣れているようで、素早く材料を購入すると、そのまま家に向けて歩く。


「さ! いっぱい食べてくださいね!」

「美味しそうな匂いだ!」


 ユリがシチューを作ってくれた。

 今日はたくさん食べたが……後で動けば大丈夫だろう。


「美味しいぃぃぃ!」


 このシチュー、匂いの通り味も美味しく、おかわりまでしてしまった。


「動けば太らない!」


 明日に備え、食べるコスモであった。

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