3.冒険者になり、初クエストを受注する。
「ここが冒険者ギルドね」
2人は冒険者ギルドへ入ると、ギルド内を見回した。
受付には人間が座っていた。
奥には酒場もある。
最も、この国では20歳にならなくては飲酒できないので、今はそこに行く必要はない。
しかし、ユリは興味を示していた。
「私も20歳になったら、あそこでお酒飲んでみたいなぁ」
「そう?」
コスモは軽くそう言うと、受付へと向かった。
ユリも隣に来て、2人共椅子に座る。
コスモが受付の人に冒険者になりたいという意を伝えると、紙とペンを渡して来た。
年齢確認もされた。
13歳以上でなくては、冒険者にはなれないのだ。
「名前と年齢とスキルと、後は種族を書くんだね!」
冒険者に登録するには上記のことを書いて提出しなくてはならない。
「スキルが無い場合はどうしたらいいんでしょうか……」
ユリは呟いた。
それを聞いたコスモは受付の人にどうしたらいいかを、たずねた。
すると。
「スキルがない……!? 教会には行かなかったんですか!?」
「いやぁ、私、どうやら前例のないスキル無しだったみたいでして……」
「そ、そうですか」
受付の人は驚きの表情をしていた。
コスモはそんな受付の人に……。
「私は剣聖ですけどね!」
「えぇ!?」
ドヤ顔で自慢するのであった。
その後、2人は書類を提出し、冒険者カードを貰った。
「これで私も冒険者! これから私の真の人生が始まる!」
コスモは嬉しそうに笑うと、冒険者カードをしまった。
「早速だけど、クエストを受けたいね! ユリは今大丈夫?」
「はい! もう帰る場所もないので……」
そう、ユリにはもう家には帰れない。
お金も自分で稼ぐしかないのだ。
「何言ってるの? 私があなたの帰る場所じゃないの?」
「コスモさん……!!」
目をウルウルとさせ、ユリはコスモを見た。
(決まった!)
コスモは内心格好付けていた。
そして、そのまま受付の人にクエストの受注方法をきいた。
どうやら、掲示板に貼ってある紙を見て、それを受け付けに持っていく必要があるようだ。
「簡単なのにしましょうか?」
2人は掲示板の前でクエストを選ぼうとしていた。
「これとかどう?」
コスモが指を指したのは、Aランクのクエストであった。
「それ、私達じゃまだ受けられませんよ?」
「そうだったね」
先程受付の人も言っていた。
最初はEランクからスタート。
そして、自分のランクより2つ上までのクエストしか受けられないと。
「私達が現時点で受けられるのは、最高でCランクまでですね」
「そうなるね……」
できれば、報酬金も高い、ランクの高いクエストが良かった。
だが、Cランクのクエストまでしか受けられないというのであれば、仕方が無い。
コスモはそう思ったのだが、1枚だけ、離されている用紙を発見した。
「あれは何?」
「ランク無し、ですか」
気になったので、受け付けの人に聞いてみる事にした。
「ランク無しのクエストは、ランクを付けにくい、又は誰もやりたがらないようなクエストとなっております。どのランクからでも受けられはしますが、お勧めはしません」
との事だ。
「どうする? 私は受けてみたい!」
コスモはユリに確認する。
「コスモさんが選んだのであれば、私はお供します!」
「じゃあ、決まり!」
そのクエストは報酬が10万円であった。
クエスト内容を確認し、そのクエストを受注する。
「ちょっと怖そうですけど、10万円が手に入るのであれば、私も頑張ります! こう見えても、剣の修行はしてきましたので!」
「期待してるよ!」
ユリは勇者になれるよう、教育されてきたみたいだ。
とは言っても、一般家庭なので、独学のようだ。
「とりあえず作戦会議よ!」
コスモ達は、コスモの家へと向かった。
「1人暮らし、してるんですね」
「15歳の時からね」
コスモは小さな家で、1人暮らししている。
「じゃあ、料理とか得意なんですね!」
「全然得意じゃない」
2人は椅子に座ると、用紙を机の上に置く。
これが受注したクエストが書かれている用紙だ。
そこにはこう書かれていた。
クエスト名:魔剣の封印代行募集
クエスト内容:一族に伝わる魔剣の封印が解けてしまいました。このままでは呪われてしまいます。更には物理的な被害も多く出るかもしれません。封印代行者を募集いたします。
「魔剣ですか……本でしか見た事ないですね」
「私は全然知らない。教えてくれる?」
「はい。あくまで都市伝説的存在で、そもそもその一族のことかは不明なんですが、その剣には意志が宿っているかのようです。気に入った人を見つけると、その人を一生呪うとか……」
「呪いの内容は?」
「分かりません……」
「どんな呪いなのか分からないのか……でも安心して! こっちには【剣聖】があるからね!」
呪いに物理的攻撃が通じるのかは不明だが、なぜだか自信はあった。
「コスモさんに頼るしかないのが、ツラいです……」
「何言ってるの! ユリのこともあてにしてるから! もしかすると、突然覚醒するかもしれないし!」
今までの前例が無いのだ。
もしかすると、スキルが発現するのに特殊な条件があるのかもしれない。
「むしろ、呪いがいい刺激になったりして!」
「そ、そうですか?」
「冗談! けど、ユリはもっと自信を持っていいと思うよ!」
「わ、分かりました! 自信を持ってみます!」
ユリは不安半分といった表情をしながら、両拳を胸の前で握った。
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