炎の大魔導師 VS 氷の大魔導師 -2-
炎は一瞬、男の全身を包みましたが、
「モアブリザード!」
即座に、フレデリックとやらが放った氷魔法によって、掻き消されてしまいました。
残念ですが、この男、わたしの炎魔法と、まったく同威力の氷魔法を放ったことは明白なようです。
「いきなり攻撃魔法しかけてくる奴があるか! 黒焦げになったらどうするんだ!」
「フレデリックとやら。あなたが氷の大魔導師というのなら、これくらいの炎魔法など、たいしたことではありません。それに、人様の家のドアをぶち壊したあなたがどうなろうと、こちらの知ったことではありません。そんなことよりも、ティア鉱石を弁償してください。今すぐとは言いません。三日間、待ってあげます。ティア鉱石は、ヒヨウザリン地方のイワトビーを倒せば手に入ります」
「イワトビーだって!? あれは、地獄のベングインとも呼ばれている猛獣じゃないか! そんなの無茶だ!」
「それはわたしの知ったことではありません。さあ、早く行ってはどうですか。時間は待ってくれません。ティア鉱石を返してくれたら、魔道勝負にも応じてあげましょう」
「ほ、ほんとか!? ほんとだな!」
「女に二言はありません」
「わかった! 必ず返そう! そしたら、魔法合戦だ! 約束だからな! また会おう、変人魔導師、ミリア殿!」
魔法合戦……。どうも陳腐な言い回しですが、返してくれるのであれば、この際何でもいいです。
嵐が去った後のように、フレデリックとやらは立ち去って行きましたが、このままでは壊されたドアから容赦なく風が吹き込むだけでなく、通りを歩く人たちからも丸見えです。
どれだけ魔道に精通していたとしても、ドアの修理には不適格です。
とはいえ、このままにしておくわけにもいきません。
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