第24話
※ 更新が遅くなり申し訳ありません!引き続きお楽しみいただければ幸いです。
◇◇◇◇
テオドールを応接室で待ち構えていたバーネット公爵の表情はとても険しかった。王族のテオドールは今でこそスローライフを送っているが、公爵位を賜る前は王宮で数々の修羅場も潜り抜けてきた。そのテオドールでも緊張が走るほど、今のバーネット公爵は恐ろしい表情だった。
テオドールが話の切り出し方に迷っていると、バーネット公爵から口を開いた。
「……クラウディアは、来ていないのか?」
「……はい。まだ気持ちが落ち着かないようでしたので、私だけで参りました。」
勿論嘘だ。テオドールが出掛ける前、愛称で呼んで欲しいなんて可愛いおねだりをしていたくらいだ。その時のクラウディアの表情を思い出し、テオドールの心は緩む。
「……そうか。」
「バーネット公爵。何故、彼女にこちらに戻るように仰ったのでしょう。私に至らない点がありましたか?」
テオドールの問いに、バーネット公爵のこめかみはピクリと動く。ぎりりと睨むように見据えられ、テオドールは怯みそうになる。
「……モーズリー公爵。不躾ながら貴殿は私の娘を大事にしているとは思えなかった。貴殿のことはよく陛下から聞いていたからだ。」
テオドールは納得した。弟である国王陛下の言いそうなことは予想がついた。弟は良くも悪くも王族らしい人間で、王族の暮らしを嫌うテオドールは変人にしか見えないらしい。
「……だが娘と会って、それは間違いだったのでは無いかと思わされた。娘はモーズリー公爵の隣にいると、真っ直ぐな目をして宣言した。」
テオドールは、自分の違和感が大きくなっていくのを感じた。これではまるで……。
「この屋敷にいる時、娘が私に意見することなんて一度も無かった。娘にとって、貴殿の隣にいることは譲れないことらしい。だがそれでも私は、娘が大事にされているのか心配でならない。」
これではまるで娘を溺愛する父親そのものではないか。
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