第12話 時計塔の怪物

エリプサとアレクサンドラは、時計台を修復し、力を込めて大時計の針を回した。しかし、夜が終わる気配はなく、夜空にはまだ蒼い月が輝いていた。


「どうしてこんなことになってしまったのかしら」とエリプサがため息をつく。


アレクサンドラは考え込んでいたが、突然思いついたように口を開いた。「もしかしたら、時計塔の修復だけでは足りなかったのかもしれないわ。」


「どういうこと?」


「この世界の時間が乱れているとしたら、単に時計塔を修復しただけでは夜が明けないかもしれないわ。もっと大きな問題があるのかもしれないわ。」


エリプサは驚いた表情を浮かべたが、アレクサンドラは早速行動に移ろうとした。「では、私たちはこの世界を探索して、原因を見つけなければならないわ。」


エリプサも同意し、二人は再び旅を始めた。しかし、どこを探しても原因は見つからず、夜は深まるばかりだった。


やがて二人は、ある場所に辿り着いた。そこは、巨大な時計のメカニズムが回り続ける部屋だった。


「これが原因かもしれないわ」とアレクサンドラが言った。


エリプサは機械に目を向け、そして目を疑った。時計の針の動きが違和感を与えた。


「これは……おかしいわ。秒針が10秒ごとに進んでいるわ。」


アレクサンドラも不思議そうな顔をしていた。「それでは、時間の流れが乱れるのも当たり前ね。これを修復しなければ、この世界は永遠に夜のままでしょう。」


時計塔が修復され、ついに夜が明けるかと思われた瞬間、大時計の針が狂い始めた。その針は時には逆戻りし、時には留まり、時には暴れまわっていた。そして、時計塔の中から恐ろしい怪物が姿を現した。


その怪物は、鉄の鎧に身を包み、鋭い牙を持つ巨大な獣のような姿をしていた。その姿を見たエリプサとアレクサンドラは、恐怖に身を震わせた。しかし、彼女たちは怖れを振り切り、怪物に立ち向かった。

オートマタアルバトロスは、時計塔の怪物に向かって鋭い爪を伸ばし、躍動する身体を激しく振り回した。怪物は素早く動き、獰猛な口を開けてアルバトロスに襲いかかった。


アルバトロスは一瞬たじろいだが、すぐに反撃に転じた。鮮やかな動きで怪物をかわしながら、鋭い爪で傷をつけた。しかし、怪物はそれでも立ち上がり、凶暴な攻撃を繰り返した。


エリプサとアレクサンドラは時計塔の中から戦いを見守っていた。彼女たちはアルバトロスが必死に戦っている姿に心を打たれたが、怪物の強さには圧倒されていた。


しかし、アルバトロスは決して諦めることはなかった。長い戦いの末、ついに怪物を打ち倒すことができた。アルバトロスは勝利の雄叫びを上げ、エリプサとアレクサンドラは胸をなでおろした。



怪物の攻撃は猛烈で、建物をも破壊していった。エリプサとアレクサンドラは、巧みな戦術で怪物を追い詰め、最後にはその鎧を破壊することに成功した。すると、怪物は弱り、消えていった。

アルバトロスの力を借り、彼女たちは勇敢に怪物と戦った。


そして、時計塔の針は再び正常に動き始め、夜が終わった。エリプサとアレクサンドラは、大喜びで外に出て、美しい太陽の光に包まれた異世界を見渡した。

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