あの時の気持ちを忘れないように想いあっていたい

第6話 いいやつやん

うぅ〜ゔぁ〜…

フェリーってこんなに気持ち悪い乗り物って知らんかった。

自己紹介がてらみんな話してたんやけど、もう限界。話の内容が入らない。

「ごめん、酔って気持ち悪いから外に出てる。みんな話してて」

甲板に出ると快晴で海がキラキラしてて風が気持ちよくて、気持ち悪さが和らいだ。

進むにつれて大小色んな島が見えたり、商船や漁船が見えて、すごく楽しい。

フェリー乗ってこの景色見れただけでも今回は来て良かったのかも。

「大丈夫？」

横を見るとまなみちゃんのバイト先の先輩の友達。

名前はたくや君。

大学生でさっきどこの大学なんかと年齢聞いたけど忘れた。

「外出たらちょっとマシになった。ありがとう」

それからしばらくは他愛も無い話をした。

この時は次の恋愛を全く考えてなかったのもあって、適当に返事をしてこの人いつまでいるんかな〜くらいに思ってた。

話しながら海を見てたら何かピョンピョンしてるのを発見。

「イルカ？あれって何？イルカ？イルカみたいやけどイルカ！？」

「あー、イルカやと思う」

「スゴイ！！初めて野生のイルカ見た！！スゴイ、スゴイ！！」

船の近くで何度か2頭のイルカがジャンプしていて、すごく感動した。

イルカ見てから一気にテンションが上がって、たくや君ともちゃんと話してみたら、案外ノリも良くて話しやすいし、顔もかっこいいやん。

しばらく話して、船室に戻って行った。

結局着くまでずっと甲板に居た。

たくや君は心配？下心？どっちにしろ来てくれたのはたくや君だけだった。

イルカ見て興奮してるのとたくや君いいやつやんって好印象の出会いだった。