第9話 風呂
家に帰った俺たちは早速、風呂の準備である。
女子たちは3人で入る気まんまんなので、風呂の水量がわからない。
よって、俺が先に入ることとなった。
浴槽の大きさは、俺が足を伸ばすと当たってしまうくらいの長さである。
どちらかといえば小さい方だろう。
「こんな風呂に3人も入るのか?」
うーーむ。
俺は風呂に上がってドライヤーで髪を乾かした。
脱衣室から出ると、彼女らは準備万端である。
「じゃあお風呂に入りましょう!」
目一杯遊ぶつもりなのか……。
女子たちはワイワイと騒いでいた。
「モッチン……。覗くなよな。ニシシ」
「アホ言ってないで入れ」
「そうですよ。先輩がそんなことするわけないじゃないですか」
「うん。
……妙な信用が俺の罪悪感を掻き立てるのはなぜだ?
覗きはしない。絶対に覗きなんかやらんが、想像はしてしまうだろう。
そこに一抹の罪の意識を感じてしまうのだ。
「俺はテレビ見てるから。早く入ってこいよ」
「脱衣所は狭いからここで脱ごうかなぁ〜〜」
「はっ倒すぞ」
「ふひ!」
やれやれだ。
扉の向こうからは女子たちの騒がしい声がまる聞こえである。
「うわぁ。
「なはは。下着のお洒落も楽しまないとな。てか、
「
丸聞こえだ。
「あ、そだ。なぁモッチン。バスタオルどこぉ?」
と、扉の隙間からひょっこり顔を出す。
あの下は裸……。
「洗面所台の隣のケースに入ってるだろ?」
「ああ。あったわ。あんがと」
と、扉を閉める。
「ニシシ。モッチン。顔真っ赤だったわ」
あいつ、わざとだろ。
出て来たら額に手刀を食らわせてやる。
「うは! せまっ!」
「流石に3人はキツイよね」
「わははは! お風呂のお湯が溢れ出ましたよ!」
俺はテレビのリモコンを使って音量を上げる。
「
「ちょ……。
「
「なはは。
……もう少し音量を上げよう。
テレビに集中だ。
しばらくすると女子たちがお風呂から上がって来た。
脱衣所の扉を開けると湯気と石鹸の匂いが部屋いっぱいに広がった。
流石に3人ともなれば相当な匂いである。まるで銭湯にでも来たかのようだ。
「うはーー。良い湯だったぁ」
「コーラ飲みましょう」
「うん。シュワっとするのいいよね」
4人で乾杯。
湯上がりコーラである。
お泊まりとはこうも距離が近いモノなのか。
奇妙な連帯感だな。
まるで家族になった気分だ。
もう11時か。
そろそろ寝る用意をしないとだな。
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