第419話 領主のお仕事
以前の様な生きるか死ぬかと追い詰められた移民ではなく、今回の移民問題は商機に聡い商会や商人とこの領地なら将来の夢を見られると言う感じの通常何処にでもある流動である。
つまり簡単に言うと、我が領の人気故の圧迫と言う事である。人気者は辛いと言う奴だ。
よって一部の領からの流出ではなく、王国全体から少量ずつ流れ込んで来て居るのだ。
よって、前回の様に食い物の配給や寝床の心配をしてやる必要が無いとは言うものの、宿屋はほぼパンク状態なので早々に何とかしないと通常業務で訪れる人達の宿の確保に支障が出ているのだ。
単騎的には先の難民問題児に使った簡易宿泊施設の開放で急場を凌いでしの隙に課長工事やその他を済ませないといけない。
こうして急遽ゲイツさん主導の作戦会議が開かれ、直径1kmの城壁を今の城壁の外側に建設する事となったのだった。
領主である俺の事を信じているのか、目を見て「宜しいですね?」と念押しされると嫌とも不可とも言えずに了承したのであった。
実際前世ではそれ以上の城壁を築いた事もあるので、今世でも大丈夫だと思うのだが、魔力量の問題でどうなる事か・・・。
これは領主の仕事と言ってもやや特殊だが、良い機会なので我が家の子らにも教え込んだ方が良いと思ってコーイチローとコージロー二条へ木造を手伝わせる事にしたのだった。
そんな訳で子供等も暫くダンジョンアタックは中止である。
すると、ランス兄弟も何れは自分らの領地でも行わないといけない問題なので手伝わして欲しいと申し出てくれたのだった。
こうして5名で工事を始める事になるのだが、やはり子供等の作った城壁は硬度が足りずに何度もダメ出しをして合格点を出せるまでに10日間程掛かったのだった。
子供等の兄組は学校帰りに手伝ってくれているのだが、毎日熱心に手伝ってくれるので、非常に申し訳無く感じていたのであった。
尤もこのお手伝いの効果は各自の経験値としてフィードバックされているので、完全に利がないわけではなかった様だ。
緻密な土魔法の行使によって魔力操作に磨きが掛かって徐々に初期の頃に比べると、雲泥の差の城壁を作れる様になって行ったのだった。
とは言え、子供等の魔力量はそれ程多くなので、魔力ポーションを飲んで寝転がって回復に勤める時間の方が長いのだが、それでも日々非常に頑張ってくれるのはありがたい事でもあった。
最初の頃こそ、教える為の手間で足を引っ張られたのだが、硬度も十分な物になってからは、俺の負担も軽減して行き効率良く城壁を建てられる様になったのだった。
電話で勿論連日の様に手伝ってくれて居るロッテルダム侯爵家兄弟に対するお礼をロッテルダム侯爵に伝えたら、「弟子が師匠を手伝うのは当然ですよ。」と渡って返されたのであった。
5我々5名の上張もあって建築開始から3ヵ月が過ぎた頃に新しい城壁は完全に完成したのだった。
俺1人だと5ヵ月は掛かる仕事と見積もって居たので大幅に短縮出来た事になる。
俺はロッテルダム侯爵兄弟にお礼を言って、正当な駄賃を手渡すもロッテルダム侯爵と同じ事を言って受け取りを拒否されてしまい、素直にお礼だけ言って感謝を伝えたのであった。
戸は言え、何も無しでは済ませられない為に、ロッテルダム侯爵に電話でお礼を言いつつも心の中でこれはロッテルダム侯爵家に借り1つとカウントしたのであった。
城壁の工事が終わってもまだまだ道路工事が残って居る。
流石にそこまではロッテルダム侯爵兄弟にさせられないので、俺が単身で頑張る事にしたのであった。
尤もコーイチローが学園に行ってる間にコージローがケネス君と一緒に遊び感覚で俺の傍に付いて来て道路をッ作ろうとしたので、慌てて止めて、ゲイツさんに頼んで道路を作る部分の罫書きというか、杭打ちをして貰って、それから始める事にしたのであった。
弟組は些か不満そうであったが、素直に杭内作業が終わるまで待って魔法の練習をして待って居る様であった。
杭打ちがやっと終わったのは3週間が過ぎた頃で、結局、兄組もこれまで同様に手伝うと言い始めて感謝しつつ、ノウハウを教えて、道路建設に取り掛かったのであった。
細かい道路まで含んで結局半年の月日が掛かったけど、お陰様で王都以上に立派な都市の外苑(以降この新規の部分を外苑地区と呼ばれる様になった)になったのだった。
これにて一旦工事は終了だが、問題は旧都市内部の区画整理と道路の補修で、建物が既にある為に道路を直線に出来ないと言う問題があるのである。
それこそ、道路を優先するなら立ち退きとなるのだが、そこまでするのはやり過ぎなので今回はこの位で一旦終了にしようと言う事にしたのであった。
でないと既存の住民の恨みと混乱を買いそうなのでね・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます