みじかいはなし。
塔
「帰らないで」
「帰らないで」
そう僕は言ったが、君に通じたかどうかはわからなかった。
君は出会った頃と変わらず白く、そして美しい曲線をえがくフォルムをしていた。
君は僕の目の前でくるりと回転すると、何度か瞬き、そして宇宙へと浮上した。
やっぱり帰っちゃうんだね。
次に会えるのはいつだろう。もう来ないのかな…。
他にもお客さんは来てくれるんだろうか。
僕は延々と続く荒野をぼんやりと眺める。
動植物が死に絶えた星に、特殊体質の僕だけが、今もこうして生きている。
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