第6話

過去編①


 「聞いたわよ、アンタまやと幼馴染なんだってね。」


「うん」


「アンタが幼馴染なんてまやも可哀想に」


「・・・」

俺は何も言い返すことが出来ない。


 それに事実だしね。俺みたいなインキャが幼馴染で申し訳ないと思ってる。

ーーーーーーーーー

 現在


 「・・・」

  真川さんは黙っている。


「その・・・」


「な・・・何でしょうか??」 

 顔は嫌そうな顔をしている。


「クラスのみんなはどうなったの??」


「あの後、ご・・・ご主人様がお帰りになった後、私達は、国に決まった金額を支払った一部の人が貴族に、残りは平民か私のように奴隷になりました。平民の方は分かりませんが、私達奴隷は拘束されてご・・・ご主人様とお会いした時のようになりました。」


「そうだったんだ。教えてくれてありがとう」


「・・・」

 文句でも言いたそうな顔をしている。怖い。


 「その、解放とかって出来るの??」


「・・・っえ、」


「いや、俺は奴隷とかいらないしさ」

怖いし、


「それだけはご勘弁お願いします。」


「えっ??」


「先程言ってなかったのですが、ここに来る前に酷い物を見せられました。私達がもし、本来の方法以外で解放された場合!この首輪が作動して私達は・・・」


怯えて そのあとは口にしなかった。一体何を見せられたかの、想像もしたくない。


 「ごめんね、解放しないから安心して」


「・・・ありがとうございます」


ーーーーーーーー


本来の解放というのは、3年に一度階級が上がるチャンスがあるらしい。それ以外は相当な理由がない限り解放は認められないと言っていた。


「・・・」


「・・・」


無言が続く。


 「あのぉ」


「何でしょうか?」


「テレビでも見る?」


「見たいです」

 

良かった。今みたいのは大丈夫なのか、俺から聞いたからか。


 そして、適当にチャンネルを付けた。


ーーーーーーーーー


 「ご飯、作るよ」


「いいんですかぁ・・・??」


「うん、元からこの家では俺が作ってるからね。」


 「そうなんですね、あのご両親は??」


「お父さんは事故、お母さんはつい最近、家の為に頑張り過ぎてね」


「そんなぁ・・・っ!!」


そして、今のは確実に俺を馬鹿にしたり反抗したりした訳じゃないのに


「痛い」

本当に痛そうにしている。どうにかする方法はないのか。


 たしか電流が流れるって言ってた。


「止まって」

だけど、止まらない。


 どうすれば電流はまだ流れている。


 電流??


 俺は昔の日々を、虐めれていつも耐えていた日々を思い出す。


 「いたっ!」

電流、凄い痛い


 「ご・・・ご主人様??何を??」


「少しでも・・・俺に電量が・・・流れて弱まればと思って」


「・・・ありがとう・・・ございます」


そして電流は消えた。


 本当に痛かった。

 「さっきさ、感謝されたけど、俺の方がありがとう。誰も同情してくれなかったから嬉しかった。」

 今まで、一度も俺のことを思ってくれた人は家族以外でいなかった。

 ほんの少しかもだけど、それも両親への同情で俺のことは思ってないかもしれないけど。

 

 でもさっき感じた優しさ。俺の悲しい毎日が報われた気がした。


「私が・・・私達はずっと虐めていたのに。そんなことで感謝しない・・・っ」

真川さんにまた電流が走る。


俺は今度はより電流が流れるように、

 首輪を掴む

痛っ!!


「離れて・・・ください・・・ご主人様」


「嬉しかった・・・から、初めてだったから」


俺たちは二人で電流を浴びた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る