576 初めての帰省
( リーフ )
「「 うわあぁぁぁぁーーーーー!!!!! 」」
ポッポ鳥に乗ったモルトとニールが必死にその首にしがみつき振り落とされないようにしながら悲鳴を上げ続ける。
「 は、早すぎるっーー!! 」
「 ちょっ、ちょっと待つっすー!!ストップストップっす〜! 」
そしてその叫ぶ様子を、俺とレオンは走るあげ玉に乗ったまま見ていた。
学院のスケジュールは前世の教育機関と同じく月曜日〜金曜日まで。
そして土日は休みとなっている。
そのため俺達幼馴染〜ズは最初の週は忙しかったため帰れなかったが、その次の週の土曜日、その早朝から故郷のレガーノに帰省しようと向かっている最中なのだ。
帰るならまた強化馬車をレンタルかな〜と思い、その早朝に馬車屋さんに行こうとしたら、あげ玉がそれをいち早く察知。
ズサッーーっ!!と俺とレオン、モルト、ニールの前に回り込んだ。
そして、スチャッ・・と静かにレイピアを抜こうとするレオンを制し、レオン以外の俺達3人が黙ってあげ玉を見ていると、突然ーーー
「 クピョピョピョーーーーッ♬ 」と歌うように鳴き始める。
お歌かな〜?と思った俺はパンッパンッ!と手拍子しながらステップを踏んでいたのだが、どうも違った様で、突然森の方角から別のポッポ鳥が2匹飛んで来てドスーーンッ!!近くに着地した。
焼き鳥にするべく ” 着火 ” を使おうとするレオンの人差し指をギュムッと掴みながら、更にあげ玉の様子を伺っていると、あげ玉とその2匹は集まり何やらボソボソと話しだした。
そしてあげ玉が「 クッポプププ〜? 」と鳴きながら、首元にある多次元バックからお化けさやえんどうを2つボボボンっ!と出すと2匹のポッポ鳥の前にスイ〜と押し出す。
「 クピョっーーーー!!!??? 」
「 クぺぺぺペーーーーっ!!!?? 」
差し出されたお化けさやえんどうを見下ろし、2匹は大絶叫している様な大きな鳴き声をあげた後、ガッガッガッ!!と凄い勢いでそれを食べ始める。
そして完食後、ペロリっと口元を舌で舐め回すと、今度はモルトとニールの方へとテッテッテ〜と近づいてきた。
ビクビクしながらそのポッポ鳥を見上げていた2人だったが、直ぐにそれぞれのポッポ達に襟元を掴まれポポンッと空へ。
「「 ーーーーっ!!!?? 」」
突然の浮遊感に驚く二人だったが、ポッポ鳥達は気にする様子も見せずにそれぞれの背中に2人を乗せ、そのままダダッ!!と走り出す。
どうやら乗せて行ってくれるらしい。
それに気づいた俺があげ玉に乗ると、そのままレオンも俺の後ろに乗り腕の安全バーを俺の腰にセット。
あげ玉はその後直ぐに走り出した。
そして追いついたあげ玉を真ん中に3匹のポッポ鳥達は防壁を駆け上がり、悲鳴を上げるモルトニールを完全無視して頂上からダイブ!!!
そして小さい羽を広げてのグライダー飛行!!
モルトとニールは泣き叫んでいたが、俺はもう慣れたもので鼻歌を歌いながらちょうど登ってきた朝日を見つめ綺麗だな〜と感動していた。
「 綺麗ですね。 」
「 うん。夜空とはまた違うキラキラだね。朝日は。 」
レオンが後ろから抱きつきながらそう言ったので、俺もそれに肯定を返すと、あげ玉の首にスカーフの様に巻き付いていた黒いスライム君、改め< 黒みつ >が ” そうだね! ” と言うようにプルプルと震えた。
新たな家族となった黒スライム君の< 黒みつ >
家族に迎え入れた後直ぐに俺とレオンはあげ玉の時同様、名前を必死に考えたのだが、レオンは ” 黒 ” 俺は ” おはぎ ”
そんな ” ちょっとどうかな〜? ” 的な名前しか思いつかなかったので、夜にモルトとニールの寮へ突撃し、名前について相談してみた。
するとニールは ” 黒こげ ” !!と俺達と同レベルの事を言ってきたが、モルトがすかさずパーンッとニールにビンタをし、
” クローディア・ミューズ・ツヴァイス ” という有り難〜い偉大な人々の名前を付けてくれたのだった。
勿論俺の痴呆症手前のトリ頭では覚える事は不可能だったので、頭文字をとって< 黒みつ >に命名。
その時の事を思い出し俺は嬉しそうに震える黒みつをグニグニしながら、その後の事も思い出す。
俺達は早速・・と家に帰って名前は< 黒みつ >でどうか?と本人に尋ねたのだが、返事を聞くまでもなく非常に喜んでくれた。
そしてその喜びを表現する様に、みょんみょんとそこらじゅうを飛び回ったあげく、なんとまたしても白く輝き出したので俺はビックリ仰天!
まさか〜?と思いながら、直ぐにスキル< 鑑定 ( 改 ) >を発動し、黒みつを ” 見た ” 。
するとーーーー
<聖王スライムのモンスター資質>
( 特殊スキル )
< 家族の拠点 >
ありとあらゆる妨害系スキルの干渉を受けることなく、どこにいても家族の居場所が分かる様になる。
またスキル< 深淵の魔術スライム >を持っている場合、家族の元へ空間移動することも可能。
( 発動条件 )
名前を付けてもらう事
” 家 ” に居場所を作ってもらう事
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