14日目(襲撃者)

 彼女の名はラフィ。

 この日は遠征のため山道を馬車で移動中だったのだが……。



「ヒャッハー!」

「な、なんですか、あなたは!?」


 目の前に現れたのは、斧を持ったならず者。


「オレぁ山賊よ。わりぃが金目の物は全部もらうぜ。それと、アンタもな」

「くっ……」

「ひ、姫様……おにげくださ――ぐあっ」

「爺や!?」

「ヒャハハ。逃げられるわきゃねーだろ! この山はオレ様の縄張り。周囲には部下が100人も潜んでるんだぜぇ!」

「そんな……」

「ヘヘ、状況が理解できたか? そんじゃ観念してオレ様に屈服しやが」


「――そうはいきません」


 ガシッ。



「あ、あなたは……」

「どうも、僕です」


 そう言って、男は山賊の腕を掴みながらニコリとほほ笑んだ。



「なんだテメェ!? この女の護衛か!? どっから湧いてきやがった!?」

「キミの肛門から」

「ふ、ふざけやがってこのヤロウ……やっちまえてめぇら!」

「てめぇら、とはあっちで寝っ転がっているキミのお仲間たちのことですか?」

「なぁッ!?」

「フフ、状況は理解できましたか?」

「な……な……」

「さて、それでは観念して屈服してください。できないなら……」

「ち、ちくしょう、こうなりゃオレ様自ら……ぐぅあああああああああ!!!」




「ありがとうございました。本当に助かりました」

「いえいえ、姫様がご無事でなによりです。爺やさんも軽傷でしたし。それよりどうです? 僕はカッコよかったでしょう? 惚れましたか?」

「いえ、それはありえません。お引き取りを」

「そうですか。しからば」


 シュバッ。




「…………まったく」







「あるわけ…………ないです///」

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