閑話 敵兵の帰路
西の住宅街……燃え焦げた建物の周りに、割れた瓶やハエが集るチンピラの死体が散らばっている。
そんな道を十数台の装甲車やバギーが通っていった。
コマンドウに似た装甲車の中には、九人程の兵士が両側の席に座っていた。
誰もかれも無言で俯くばかりで、どの面にも焦燥感とやるせなさが漂っていた。
彼等はミハイルから任務が失敗したことと基地に戻るよう指示を受け、何も出来なかったことに打ちひしがれていたのだ。
「……」
そんな中、一人が無表情で上を見上げる。
その先には鉄の板の天井があり、温もりやらなんやらがそこから全く感じ取れなかった。
それを見てかは分からないが、男は溜息を履きながら再度俯いた。
「あの」
そのまま誰も喋らないかと思われたその時、一人の男が重い口を開いた。
比較的若い男で、顔立ちからはまだあどけなさが残っている。
彼は他と同様にやるせなさを顔に貼り付けているが、全員の中では比較的マシに見えた。
「今後俺達どうなるんですかね」
彼は車内を見渡しながらそんな質問を送る。だが周りは誰一人として答えず、床一点を見つめ続けるままだ。
若い男は言葉を紡ごうとしたが、瞬間、彼等からシンパシーのようなものを受け取った。
――「喋りかけるな」という単純な命令を。
……若い男は圧に負けたのか、開けた口を閉じ男達と同様に無言を貫き始める。
そしてそのまま装甲車達は基地へと突き進んでいった……壮絶な無力感を伴って。
――――――
しばらく留学選考やらTOEICやらで忙しくなるので本編書ける状況じゃないです。
来週も閑話を投稿するかもしれません、ほんま申し訳ねえ。
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