第14話 指を食む

財布を探していると、指先が温かいものに包まれた。


鞄、布団、クローゼット。

奥が見えないものに手を入れると、

何かが指を食む。

歯がない口で懸命に、

赤ん坊のように。

いつもはすぐに手を引くが、なんだか可哀相でじっとしていた。


それで、気が付いたら指先の肉が無かったんです。

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