何も持たない両手(プロローグ)
悪役貴族の弟
ども、俺の名はルーク。
ルーク・ヴィ・アストラだ
この世界【ルセリア】にある国【テレスト王国】に住む公爵家の次男だ。
年齢は8歳。
そして俺は今、壁とにらみ合っている。
どうして、そんなことをしているのかというと
俺は牢にぶち込まれているからである。
貴族の子が何故!?と思う者もいるだろう。
ちなみに俺もそう思う。
だが、それ知るにはまずは俺のことを語らないといけないだろう。
そう……
あれは6年前のことだ――
◇ ◇ ◇
……。
うん?
知らない天井だ。
まさか、こんなセリフを言う日が来るとは...
なにがどうなっているんだ?と思い、いつものように起き上がろうとしたが、違和感があった。
伸ばした腕が短く、周りの景色がすべて大きい。
まさか……。
「あ、おはよう御座います。ルーク様。」
ドアからメイド服の女性が入ってきた。
そして、俺のことルーク様と呼んだ。
ん?待て。俺の名前はルークなんかじゃ――
あれ?
自分の名前をルークという認識が出来ている……。
「みーしぇ。」
「はいはい、分かっていますよ。では、失礼しますね。」
無意識に彼女の名を呼んで、まるでいつものように両脇を掴んで俺を持ち上げた。
うーむ。
現状を整理しよう。
どうやら俺は子供の体になっている。
そして、名前もルークという。
だが、俺は違う人間の記憶を持っている。
名前とその人の人間関係は思い出せんが、地球という世界の日本という国の人間の記憶だ。
その人は漫画、アニメやラノベなど楽しむオタクというヤツだと。
中でもネット小説の異世界転生を最も楽しんでいたようだ。
これらを合わせて、俺は恐らくその転生者になったのだろう。
でなければこの小さな体で思考が大人びている訳がない。
異世界かどうかはまだ分からんがな。
さて、自分のことを整理したことで落ちつくことが出来た。
まずは何よりもどんな世界か、どんな家に住んでいるかを見極めなきゃならない。
メイドのミーシェとやらに抱えもらえながら木製の廊下を歩く。
廊下周りの装飾とし飾られてる壺や壁模様、窓から見える数々の民家や遠くにある大きな壁の景色。
どうやら古い時代に転生したらしい。
単純にこの場所が特別なだけかもしれないが。
ん?廊下の先に誰かいるぞ……顔が不機嫌そうだな。
「おい女、そやつを連れてどこへ行く?」
「これはアッシュ坊ちゃま、ご機嫌よう。どこと申されても散歩にて御座います。」
アッシュという真っ赤な髪の毛と右目に涙ボクロが目立つ少女のような顔立ちした少年が更に眉間のシワを寄せて...
しかし、この顔どこかで...
「部屋に戻せ、必要ないであろう。」
「それは出来ません。旦那様のご指示で御座いますので。」
「チッ...もういい。」
そして、そのまま少年は去った。
うーん、本当に見覚えのある顔だなぁ。どこで見たんだか.....
「はぁ……アストラ家の跡取りがアレでは私も今後の身の振り方を考えなければなりませんね。弟に幽閉紛いなことをしろだなんて……」
ん、アストラだと?
アストラ家のアッシュ....
そして、あの顔は....
ああ、ああああああああ!?
思い出した!!
アイツの名は「アッシュ・ヴィ・アストラ」!
前世の俺が死ぬ前にハマってたゲームの第一部ラスボスの名!
つまり俺はゲームの世界に.....
「ルセリアの軌跡」の世界に
悪役貴族の弟「ルーク・ヴィ・アストラ」として転生したんだ!
.........。
………………。
…………………………。
いや、誰やねんッ!
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初投稿です。
元々読み専ですがフォローしてる作品がどれも更新待ち遠しくて、自分も書いてみました。
ダラダラと投稿するつもりですので、
良ければ生暖かい目で見守ってください。
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