第10話日常

眩しい光が身体を突き刺す


人という人は誰もが経験するらしい


暗闇に溶けていく人間がいる


赤子を抱え悲痛な趣で過去を思っている


緑に心を委ねようとしたのもその感性からか


抱きしめられた赤子は健やかに眠っている


泣き疲れたのだろう 頬には涙の跡が見える


二人の関係を誰も知らない


二人は思い出の人間になろうとしていた


暗闇は絶望でもない光もただ


絶対的な希望ではなかった


暗闇に希望を求めた二人は暗闇に光を求めていた


何処までも続く光などないと知りながら


赤子の涙が大地に落ちた後


二人の姿は何処にも見えなくなった


ただ暗闇に希望を見いだせたような


素晴らしき笑顔が最期の二人には見て取れた


遠いと思われた楽園は近くにある


誰もが気づけるとは限らないけれど

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