第41話 番外編・俺のスキルは(カナタ視点)
俺はまだ子どもだ。だから、大人に勝てなくて当たり前だ。
だけど、勝てるようにならなくちゃいけないようになった。
ハルカを守るために、もっと強く――。
その為に始めた父ちゃんとの鍛錬が一段落して、家に戻る。家の中にハルカの気配がなかった。
「あれ? ハルカは?」
「おかえり、カナタ。父ちゃんの稽古はもう終わったの? ハルカちゃん達はミラと一緒にまたお出かけしてるわ。秘密のお出かけだって仲良さそうに」
女の子同士だから、話が弾むのはわかる。だけど、仲間外れにされてかなり凹んでしまう。
俺がハルカを連れてきたのに……。
いやいや、そんな考え方しちゃダメだ。ハルカにお願いしてここにきてもらったんだから――。
家の外からミラとハルカの声が聞こえてくる。
「おかえり」
ハルカがびっくりした顔で俺を見る。
「た、ただいま!」
そんな、驚くほど俺、変な顔してたのか?
「カナ兄、なんか拗ねてない?」
ミラに笑われた。
「拗ねてない!!」
なんだ、なんでそんな風に思われたんだ?
俺は顔に出てるのかと思い手でこねくった。
「ねぇ、カナタ。今からは空いてる? 一緒に薬草探しに行こうよ」
「いいのか?」
こねくってた手をぱっと外しハルカを見る。彼女にも笑われた。俺の顔、今そんなに面白いのか?
「カナ兄と二人で行っておいでよ。ボクはライムとソラの面倒をみとくから」
『×××××××××!!』
『×××××××!!』
ライムとソラが何か言っていたけれどミラに連れて行かれ二人きりになった。
二人きりなら、あの事を聞いてもいいのかな。
◇◇◇
彼女は魔物使いなのに、魔物使いらしくない。
魔素は自分で作れるし、使役獣の魔物と離れてもなんとも思わない。ライムの手伝いと言っているけど、その調合作業を見せてくれないし、薬草にやけに詳しかったり……。
ハルカがぎゅっとしてくれた時、すごく温かくて、怪我が治った。
もしかして、ハルカのスキル、本当は――。
だけどこれは口に出せなかった。もし、それが本当なら、正体を隠しているのかもしれない。
回復魔法を使える者は神の庭に連れて行かれてしまう。そうなったら、彼女に会うことが出来なくなってしまう。
お礼だって、まだ全然出来ていないのに。
「ハルカの夢がみんななら、俺はハルカを治せる人になるから」
「ありがとう、カナタ。一緒に頑張ろうね」
ハルカがここにいたいと思ってくれるなら、俺はその気持ちを守りたい。
家に帰り着く。ハルカをおろした後、忘れ物を取りに行くと外に出た。
――やっぱりだ。
自分のステータスを確認した。
レベルが上がっている。まったくレベルが上がらなかった俺のスキルはハルカと一緒にいる事で上がりだした。
俺のスキルには見習いという言葉がついている。
この見習いとつくスキルは同じスキルの師を見つけて、習う事でレベルアップし、ある一定まで上がれば見習いという文字が消える。見習いの間はとれるスキルはほとんどない。けど、見習いさえ終われば師とほぼ変わらないスキルを一気に獲得できる。
村にはオレと同じ名前のスキルは誰もいなかった。
このまま、レベルアップ出来て、見習いが終わればハルカを守れるスキルになってくれるだろうか。
「見習い
ハルカは俺と同じスキルの持ち主なのだろうか。
ライムもソラも今日はいなかった。だから、きっと彼女で間違いない――。
「俺、このスキル強くして、絶対にハルカを守るから」
今日、ハルカと約束した。
一緒に頑張ろうって。
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