拝啓 この美しい世界へ
Mei
検索
これは何?
これはどうすればいいの?
これってどういう意味なの?
小さい頃から質問が多い人間だった。
自分で調べてみなさい。
そう言われて育ってきた。
中学生に上がる頃には、PCや携帯電話、インターネットに接続できるゲーム機などを当たり前のように使える時代になり、わからないことはすぐに検索した。
宿題の答えや問題の解き方、ゲームの攻略法、PCの使い方
検索すれば大概のことはインターネットで顔もわからない誰かが答えを教えてくれた。
大人になってからもそれは変わらず、わからないことはインターネットで検索をすれば答えを得ることができた。
仕事に関わることや、人間関係の攻略方法でさえも。
知識の海であるインターネット様様だった。
誰でも使える、こんなに素晴らしいものがこの世にはあるのに
調べればすぐに出てくるようなことを、あれやこれやと聞いてくる人間が
段々と苦手になっていった。
自分で調べて解決しないとバカになるぞ。
ある時、仕事に行き詰まって転職を考えた。
まずは会社を辞めたい。
その後、転職活動をしないといけない。
いや、でもいっそフリーランスとして個人でお金を稼ぐのもありだな。
どういうスキルがあればいいんだろうか。
まずは会社の辞め方を。
もちろん検索をした。
誰かが教えてくれるだろうから。
それっぽい答えは出てくるが、自分にピッタリ当てはまるものが出てこない。
"上司の特徴別・退職の伝え方!"
"環境別・穏便な転職活動の仕方!"
"すぐに転職すべき会社の特徴10選!"
しっくりくるものがなかった。
検索条件を追加すればするほど、答えは遠のいていき
行き着く先は
「お探しのページは見つかりません」
後回しにして
先に、フリーランスで食っていく方法を。
まず自分にはどんなスキルがあるんだろう。
検索
答えが出るはずはない。
一個人の情報なんて調べても出てこないことくらいわかっている。
でも、答えがわからない。誰かに教えてほしい。
仕事 選び方
検索
自分のスキル 見つけ方
検索
得意なこと 探し方
検索
やりたいこと 見つけ方
検索
気がつけば、自分自身に聞いてみればわかることを、あれやこれやと
顔も知らない誰かに聞いているではないか。
バカになっていた。
毎日、朝起きて身支度をする時に見ている
顔の見知った他でもない自分自身は答えを教えてくれない。
便利なものに囲まれて生きていると、アナログで後進的な物事には目が向かなくなってくる。
もちろん、最新技術を最大に活かせる人間は魅力的だが
信念を持って、自分の頭で考え抜いて生きている人間はもっと魅力的に感じる。
技術や便利さっていうのは、あくまで補助輪
そんな本質がわからなくなっていた。
私は、自分の頭で考えるというアナログな方法で
自分の中身を検索しなければならないのかもしれない。
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