第13話 レシピを買いに行く

 納品ができて少しお金ができたので買い物の時間だ。

 私の持ち金はさっき納品した50個が420ゴルになったから手持ちと合わせて520ゴルだ。


 本当は、初級ポーションが1個8ゴルだから、400ゴルだったんだけど、10個分だけクエスト扱いで10ゴルになるから420という感じだ。

 視聴者の人いわく、デイリー納品クエストとかいうやつらしい。

 一日に10個まではその金額で毎日受け付けてくれるらしいので、できる限りやりたいところだね。

 たかが20ゴルの差だけど、20ゴルもチリツモなのだ。


 そのためにも、一応10個分50ゴルで薬草依頼を出しておいた。

 これで仮に私が今日薬草を拾わなかったとしても明日も納品できるというわけ。

 デイリー納品クエストには薬草5個分で足りるんだけど、最小単位が10からだったため、そうなってしまった。


『えっと、計算すると、10*10+10*8-50で利益は130ゴルか』

『少な! ゴブリンクエスト受けてた方がマシなレベルじゃん』

『なお、アリスちゃんの元の手持ちは100ゴルであった』


 そんな視聴者さんのコメントを見つつ私は市場へ向かった。


 さてさて、市場についたわけだけど、何を買えばいいかな。

 視聴者に聞いてみると、


『まずはレシピでは?』

『せやな、本屋優先かね』

『レシピないと成功率激減するからな』


 そっか、レベル2から作れるアイテムのレシピがいるんだっけ。


『基本レシピは本屋で売ってるな。レベル2は1個20ゴルのはず』

『別に売ってるものしか作れないってわけじゃないけどね、あくまでも基本のレシピ』


 このゲーム、というか世界では生産のレシピは購入できるものと、ランダムでモンスターが落とすものがあるらしい。

 レシピを買う場合は、自分のレベルより高いものが買えないので、飛び級でアイテムは作れないんだそうな。

 いや、正確には作れるけど、成功率が激減する。

 自分のレベルより1高いものを作ろうとするだけで確率は半分、更に上なら半分となっていく感じだ。

 素材を無駄にするくらいならちょっと高くてもレシピを買っておけというのが一般的な考えらしい。

 視聴者さんからのおすすめのレシピは5個。


「100ゴルか、ちょっと高いなぁ……」


 市場の本屋についてレシピとにらめっこする。


『言うても、レベル10までは10ずつしか上がっていかないけどね』

『20超えたらまた上がり方変わるよね』

『100ゴルくらいなら作って売りまくれば元はすぐ取れるはず』


 むむぅ、まぁ、買わない選択肢はないんだけどね

 しょうがない、なけなしの100ゴルと引き換えにレベル2の錬金術基本レシピを購入した。

 さて、本当はこのレシピ2をアトリエに帰って読まないと必要な素材がわからないんだけど、


「レベル2で使う、買っておいた方が良い素材とかあります?」


 私には頼りになる視聴者さんがいる。

 こういうところはガンガン聞いていくよ!



 というわけで、結果的に購入したのは以下

 クズ木の枝と石、くもの巣、海水、獣の皮をそれぞれ1個ずつ。

 ついでに投石を作るように砂を沢山買い込んでおく

 先程のレシピと合わせて、私の残金は100ゴルに元通りだ。

 砂買いすぎたかなぁ……

 いや、でもこれが経験値と素材のもとになると考えればきっと良い投資……のはずだ。


 本当はそのまま採取へ向かうつもりだったんだけど、先にアトリエに戻ってレシピを確認することにした。

 そもそも、昨日、投石を使い切っちゃったから補充しなくちゃいけないしね。

 そんなわけで、アトリエでレシピを読むと、それが錬金術で作れるようになっていた。

 今回作れるようになったアイテムは、木の棒、石材、糸、レザー、食塩の5つ。

 視聴者さんいわく、他の生産職である、木工、鍛冶、裁縫、細工、料理のレベル1で作れるアイテムらしい。

 これに加えて、錬金術師と薬師があるわけだけど、薬師がレベル1で作れるアイテムは、初級ポーションということで錬金術で被っているから増えていないとのことだ。

 増えたアイテムはさっき買ってきた素材で作れるようになっている。

 レベル上げも兼ねて、一個ずつ作ってみた。

 失敗もなく、アイテムが出来上がる。

 ちなみに、これらのアイテムは、売っても大した金額にならないらしい。

 まぁ、初級ポーションと同じレベルって考えれば納得だけどね。

 それから、買ってきた砂も全部投石にしておいた。


『投石の数がやばい件について』

『まぁ、砂2個で10個の投石だからなぁ』

『インベントリが無限で助かった』

『そもそも、アリスちゃんってインベントリ使えるんだね』


「インベントリ?」


 インベントリってなんだっけ? 聞いてみると。


『アイテムを入れておける不思議空間?』

『要するにどこでもポケット?』


 なるほど、そういえばあんまり意識してなかったけど、普通にアイテムしまったりできてるね。


「一応、錬金術師になった時に使えるようになったかな」


 この辺はアリスとしての記憶になる。


「この世界だと職業につけば使えるようになるっていう感じだね」


 このあたり、元の記憶からすると不思議な感じだけど、この世界ではこれが一般的な考えみたい。


『ってことは、他のNPCたちも皆インベントリ使えるってことかな?』

『聞いたことはないけど、確かに街の冒険者達もなんか保管とかしてたから多分そう』

『知らんかったわ』


 私のいるこの世界と、視聴者さんがやってるゲームが完全に同じものかは知らないけどね。

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