第11話 配信二日目

 起きてなんとなく朝食を食べた後、配信を開始する。


「あー、えっと、聞こえますか?」


 配信を開始して間もないのにもう人が集まってきた。


『聞こえるでー』

『アリスちゃんおはよー』


 昨日も見てくれた人達かな?


『どうも、掲示板を見てきました』

『異世界転生って、ま?』

『うわぁ、アリスちゃん動いてるよぉ(泣)』


 初見っぽい人たちもいる。


「掲示板ってなんのことです?」


 その中でも気になったのを拾ってみた。


『この放送のことがゲーム内掲示板で拡散されてた』

『俺達が拡散した』

『お前だったのか』

『まぁ、話題にならないほうがおかしいんだよな』


 どうやら昨日言っていたみたいに、視聴者さんが触れ回ってくれたみたいだ。

 その御蔭なのか、それなりに人がいる、開始すぐなのに100人くらい。


『アリスに異世界転生設定でゲームプレイとか斬新すぎる』

『その辺りのところ実際どうなん?』

『昨日のアーカイブ見た感じだと、凄い精巧だけどこれ公式じゃないの?』


 なんか質問をいっぱい投げられてしまった。

 これは少し時間を使って返すしかないかな。


 あらかた私の方の事情を説明し終えた。


『なるほど、理解した』

『理解したけど、どこまで本当かわからなんなぁ』

『まぁ、運営には問い合わせてるからそれ待ちよ』

『ここの運営ってそういうの結構厳しかった気がするけど、バンになってないってことは……』


 なんか理解されているかどうかは別として、質問の山は捌き切ったと思う。

 正直、私自身どうなってるかわからないから説明し辛いよね。


「ところで、私は、昨日の最後に、凄いことわかったって言ってたのが気になるんですけど」


 あんな終わり方をされちゃったから気になっているんだよね。

 昨日の人いたりしないかな。


『ああ、やっぱりギリギリ終わってたか』

『じゃあ、もう一回説明するよ』

『まさか、検証ニキ!?』

『生きていたのか!?』


 おっ? いてくれたみたいだ。

 説明してくれるらしいので、大人しく待つ。


『長文になるけど、失礼』


 そんな前置きをして、検証ニキさんは書き込みをしてくれた。

 曰く、

 私の放送を見て検証した結果、錬金術師には特別な経験値ソースがあることが判明した。

 錬金術で作ったアイテムを敵に当てることで、経験値が蓄積しているらしい。

 それは、そのアイテムを作れるレベルとも関係しているらしく、例えばレベル1で作れる投石は10個当てると、経験値が1入る仕組みなっているらしい。


「なるほど、それで、昨日私はレベル上げることができたんだね」


『きっちりその場面で経験値見たわけじゃないけど、おそらくそう』

『掲示板はかなりお祭り状態になってるよ』

『他の職でも戦闘で経験値入る可能性が出てきたからな』

『何より一番盛り上がっているのは、錬金術師たちだけど』

『過疎ってた掲示板があんな速度で流れてるの初めてみたわ』


 へぇ、そんなことになってるんだ。参加できないのがちょっと残念。


『ちなみに、初級ポーションでも経験値入ることが判明した』

『あ、それでか、今日やけに初級ポーション作ってる人が多いなぁとは思ってた』

『数は必要だけど、単純に使うだけで経験値入るなら得しかないからな』

『流石に消費アイテム以外は無理だったみたいだけど』


 へぇ、つまり消費アイテムを自分で使うことで経験値が入るのか。

 それは私にとってもかなりいい情報だね。


『掲示板スレから来ました、錬金術師です。久々に興奮してます。ありがとう!』


 おっ、錬金術師仲間さんかな?


「先輩ですかね? 私はまだまだ駆け出し、なので何かあったら教えてもらえると助かります」


 昨日の情報はこんなところのようだ。



「それじゃあ、今後の方針としては、自分でアイテム作って自分で投げに行ってレベル上げるのがいいってことですかね?」


『せやな、次の消費アイテムが作れるようになるのがレベル3なんで、そこを目指す形で』


 レベル3ってことは、あと1か。すぐに思えちゃうけど、そんなわけはないんだよね。

 残り経験値を確認すると、あと60必要になっていた。

 昨日あれだけやって30くらいしか入っていなかったことを考えると、かなり大変だと思う。


『ひとまず、レベル2のアイテム作ればボーナス込で少し上がりやすくなるよ』

『作るアイテムのレベルが高ければその分、経験値も入りやすくなるから』

『それでも大変なことには変わらないけど』


「そっか、えっと、レシピは市場で買えるんですよね。何かおすすめとかあります?」


『何種類かあるけど、全部買っていいんじゃないかな?』

『安いから全部買うがよろし、ボーナス目的だ』

『それ以外だと、木の棒を沢山作ることをおすすめする。レベルが上がった時に素材として使えるし』


 おっ、これは先輩錬金術師さんからの助言かな?

 木の棒ね、これは覚えておこう。


『ちなみに、木の棒の素材は木の枝ね』

『木の枝は森に入ればすぐ拾えるから集めるのも簡単よ』

『最悪、店でも買えるけど、拾ったほうが金かからないからいい』

『なんなら、街の木の下みたらたまに落ちてる』

『わけて上げたいくらいは沢山見かけるよな』


 ちょっと羨ましいなぁ。

 勝手に他人の家に入って拾うわけにもいかないし。


「うん、でもわかりました。皆さん色々とありがとうございます」


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