1時間以内で仕上げた作品
泡沫 知希(うたかた ともき)
君といれば笑えたはずなのに
僕らは平凡だった。
漫画のように美しい彼女を持っている訳でもなく、スポーツが得意ではない。
もしこの世界に主人公がいるならば、それにはなれない。
多分、クラスメイトABになっているだろう。誰も僕らのことを覚えているわけがないし、主要なキャラに近づくことさえできない。
でも、僕らには少しだけ違ったことがあった。
僕らは、同性のカップルだった。
最近では世界的に広がっているが、まだまだ偏見の多い。いじめられる対象になるだろう。
それを隠して僕らは生きている。誰にも伝えることが出来なかったが、それでも幸せだった。
帰り道、こっそりと手をつなぐだけで、一緒にいられるだけで、毎日が華やかに染まっていたんだ。
君の笑顔を見るだけで、元気がもらえていたんだ。
主人公になれなくても、幸せは掴める。それを実感できて、心が震えていた。
「僕は幸せだ。君と一緒になれて、君と出会うことができて、それだけで世界は変わってくる。これから先もずっと君といたい」
とね。そうすれば君はどんな顔をするだろろか。
笑ってくれるのかな、恥ずかしがるのかな、と考えるだけでも心に暖かいものが貯まるのだ。
そんな幸せを噛みしめて過ごしていた矢先、僕らが付き合っていたのが周りになれてしまった。そのせいで、いじめられるようになった。
君は笑わなくなった。
君を笑わせるために僕はどうしたらいいのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます