第6話
「わたし本人のいないところで悪口みたいなの言うのは好きじゃないってことは最初に言っておくわ」
「うん。知っているから大丈夫」
ミユキと自宅最寄り駅前のファミレスに来ている。一階がドラッグストアで二階にファミレス。三階にカラオケ店が入っているビル。
「私情を含むとあの子の悪口しか出てこない気がするから、事実だけを話すね」
「悪口しか出てこないんだ……」
本当に気づかなかったが、ミナミがそんなにヤバい奴だったのかと知り慄く。恋の盲目っぷりは恐ろしい。
「あのね、あの子。小学生の頃からちょっとイカれていたんだよね―――」
――ミナミ小学六年生。学校の教室では常に男子五~六人を侍らせていて、あれをして欲しいこれをして欲しいとおねだりをしていた。
周りの女子はそれを見て歯がゆく思っていたらしいが、カースト上位のミナミには逆らえず歯噛みしていたらしい。
……俺はミナミとは別のクラスだったので全く関知していない。
――ミナミ中学一年生。夏前に部活の先輩と関係を持つ。もちろん関係とは肉体関係のこと。その先輩は三年生だったので受験の関係で夏休み明けに関係は解消。
クリスマス前に今度は二年生と関係を持つようになる。以下同で、春休み前まで関係は続く。
……確かに一時期付き合いが悪かった時があったような気がする。同じく全く感知していない。
――ミナミ中学二年生。春先から他校の三年生と関係を持った。先の二年生とは二股状態。六月頃、成績がすごく落ちたことから関係を解消して本人は塾に通い出す。
七月下旬頃カズヒトを手中に収める。幼馴染は男として見られないなどと御託を並べていたにも関わらず手を出したのには理由がある。この理由は言えない。
またカズヒトと交際中に少なくとも他に三人と関係を持った事実が最近になり判明する。
「この三人っていうのは全員塾で知り合った他校の人ってこと以外詳細は分かんない。わたしも最近になって知ったことなの」
「そうか……」
「ねえ、カズヒト。その頃から浮気されまくっていたわけだけどあなたは気づかなかったの?」
「……まったく。そもそもそんな女だって思ってもいなかった」
「まだ聞く?」
「まだ続くのか? ああ、ここまで来たら最後まで」
「じゃあ、中三の頃ね。これは一件だけよ。さすがに高校受験を控えて股広げている場合じゃないって気づいたのかしらね」
「うん。で?」
「このときはいわゆるエンコーってやつみたいね。相手は大人だったみたい。一回ヤると三万もらえたみたいね」
「……はぁ。つくづく、つくづくだな」
「そういうことね。カズヒトも傷口が広くなる前で良かったんじゃない?」
「もう俺の傷口ザックザクなんだけどな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます