第7話 異世界のトイレとお風呂事情

部屋の番号を確認して鍵を開けて部屋の中に入った私、初めに驚いたのは

「窓が板張り?・・あ!板ガラスが無いのか。」

と呟いた。

薄暗い部屋の窓を開けようと板張りの窓を下から押し上げて突っかい棒で留めると、そこそこの明るさになった。部屋の中を見渡した私はそこでまた納得する。

魔道具のランプにクリーンの魔法があるこの世界では、宿の部屋にガラスなどがなくても特に問題はないのだ。


「そうだ!早くシャワーを浴びて着替えなくては。」

とぼやきながらシャワールームを探す・・・無い。

「トイレは?」

と思いながら小部屋の扉を開けると穴の空いた椅子が一つ、穴を覗くと何かが下にモゾモゾとしている。

「え!これは何?・・スライムなの?トイレ用なの?」

恐々とお尻を下ろして用を足すと

「ペロリ」

「ひゃー!」

スライムがお尻を撫でたの。

「もうお嫁に行けないよ!」

とくだらない話を思い出しながら、「冒険者は何処でも寝て用を足さなければいけない。」と言うくれないか部長の言葉を思い出す。

身体にクリーンをかけて少しスッキリしたところで、服を着替えて食堂に向かう。


既に部長はテーブルに座っていた。

私もその対面に腰を下ろすと

「部長、何を頼みました?」

とメニューを見ながら尋ねると

「まだだよ、恵くんを待っていたから。でもねここはワイルドステーキというのが一番人気だそうだよ。」

と教えてくれた、そこで給仕の女性に

「ワイルドステーキ2つとエールを2つお願いします。」

と声をかけると、部長が

「おお、未成年がエールなのかい?」

「こちらの世界では15歳は成人ですよ。郷に入りては郷に従え、ですよ。」

と言いながら運ばれてきたエールを部長と共に一口口にする。

「うえー。生ぬるい、それに苦い。」

と言う私に部長が魔法をかけた。

するとエールのジョッキが凍りつくほど冷たくなる、恐る恐るとエールに口をつけると。

「・・・!冷たくて美味しい。」

思わず口にしていた、すると部長が

「恵くん、意外と呑んべいのようだね。」

と笑った。


その後に来たワイルドステーキは、本当にワイルドな感じの料理だったが味は良かった。

お腹が膨れた私は、部長に質問した。

「この世界にお風呂かシャワーは無いんですか?」

「平民の生活にはどちらも無いかな、ただ魔法が使えない者は川や井戸水で身体を拭いていると聞いたな。」

「川に井戸水ですか。冬はお湯でも足すんですかね。」

「いやそのままだと言いたよ、お湯は貴重だからね。」

「ならこちらでお風呂は無理ですね。」

とガッカリしながら言うと

「僕の屋敷になら付いているよ。ダンジョンが終わったらそこに連れて行こうかと思っていたんだよ。」

と言うびっくり発言。

「部長!屋敷を持っているんですか?」

「当然だろう。君も今日半分の1億円相当の金貨を手にしただろう。屋敷なんてすぐに買えるよ。」

と言われ、「確かに。」と思った私。


その後は明日の予定を確認して部屋に戻りベッドに横になると。

「マットレスが無くて硬い。」

とぼやきながらいつの間にか睡魔に負けていた私。

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